コラム

住宅ローンの固定期間選択型とは?メリットやデメリット、固定期間終了後の金利を解説

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住宅ローンの金利タイプは、変動金利と固定金利だけでなく、借り入れから一定期間の金利が固定される「固定期間選択型」も選べます。

本記事では、固定期間選択型住宅ローンの特徴や注意点などを、わかりやすく解説します。

 

 

 

住宅ローンの固定期間選択型とは

 

固定期間選択型とは、借入から一定期間の金利を特約で固定する金利タイプです。金利の固定期間は3年、5年、10年、20年などから選択できます。

 

住宅ローンの返済額は、金利をもとに計算されます。例えば、固定期間を10年に設定すると、借り入れから10年間は、市場の金利が変化しても返済負担が増える心配はありません。

 

金利の固定期間終了後は、自動的に変動金利へ移行しますが、固定期間終了時に金融機関が取り扱うものの中から一つを選んで、再び一定期間の金利を固定させることも可能です。ただし金融機関によっては、特約の再設定に手数料の支払いが必要となる場合があります。

 

選択できる金利の固定期間や金利の値は、金融機関によって異なります。固定期間選択型は、複数の金融機関を比較して選ぶことが大切です。

 

 

固定期間選択型を選んでいる人の割合

 

固定期間選択型を選んでいる人の割合は、以下の通りです。

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※出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)

 

住宅金融支援機構が行った調査によると、住宅ローンを利用した人の26.6%、約4人に1人が固定期間選択型で借り入れています。一方で、固定期間選択型を選ぶ人の割合は、3年間で約10%減少しました。

 

次に、固定期間選択型を借り入れた人が選択した金利の固定期間を確認してみましょう。

 

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※出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)

 

直近の調査結果では、金利の固定期間を10年超に設定して固定期間選択型を借り入れている人が、もっとも多いようです。

 

2016年度の第2回調査と2020年5月調査を比較すると、固定期間を10年以上(10年と10年超の合計)にしている人の割合にあまり変化はありません。しかし内訳は大きく変化しており、固定期間10年で借り入れる人の割合は、約半分まで減少しています。

 

固定期間選択型住宅ローンのメリット ・デメリット 

では、固定期間選択型の住宅ローンには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?それぞれ確認していきましょう。

 

固定期間選択型のメリット

固定期間選択型住宅ローンのメリットは、以下の通りです。

 

  • 固定期間中の金利が低い
  • 金利の固定期間中は金利の上昇を心配せずに済む

 

固定期間選択型の住宅ローンは、借り入れから一定期間、変動金利並みの低金利が適用されます。金利の値が低いほど、毎月の返済額に占める利息の割合が少なくなり、元本を効率的に減らすことが可能です。

 

また金利の固定期間中は、金利上昇や返済負担の増加を心配することなく住宅ローンを返済できる点も、固定期間選択型のメリットです。

 

変動金利は、返済額を計算するときに用いられる金利は半年に1度、毎月の返済額は5年に1度のタイミングで見直されます。

 

一方で固定期間選択型は、金利の固定期間中であれば、金利の値や毎月の返済額は変わりません。固定期間中は「金利が上がって、毎月の返済額が増えたらどうしよう」といった不安を抱えることはないでしょう。

 

「子どもの教育費がかかる」のような理由で、借り入れから一定期間の返済負担を抑えたい方は、固定期間選択型を検討してみてはいかがでしょうか。

 

固定期間選択型のデメリット

一方で固定期間選択型には、以下のようなデメリットがあります。

 

  • 金利の固定期間が終了すると返済額が増える可能性がある
  • 固定期間終了後の変動金利に5年ルールや125%ルールが適用されない

 

住宅ローンの返済額を計算するときに用いられる金利(適用金利)は、金融機関が定める「店頭金利」から、一定値が引き下げられて計算されるのが一般的です。

 

場合によっては、固定期間終了後に引き下げられる値が変更されて、適用金利が上昇し毎月の返済負担が増える可能性があります。

 

例えば、固定期間中の適用金利が0.6%、店頭金利3.2%であるとしましょう。金利の固定期間中は、2.6%の引き下げが適用されています。仮に、固定期間終了後の引き下げが1.4%に変更された場合、適用金利は1.8%に上昇してしまいます。

 

また、固定期間終了後の変動金利は、「5年ルール」や「125%(1.25倍)ルール」といった仕組みが適用されないケースがほとんどです。

 

  • 5年ルール:返済額が見直されるのは5年に1度である
  • 125%(25倍)ルール:見直し後の返済額は見直し前の1.25倍を超えない

 

特に固定期間終了後の変動金利に5年ルールがないことで、金利が見直されると同時に返済負担が上昇する可能性があります。

 

 

このように金利0.2%を上乗せして特約を付帯すると、毎月の返済額は約2,900円、返済総額や利息額は約122万円増えます。

特約の保険料が高いと感じるか安いと感じるのかは、人によって異なります。「月々2,900円しか変わらないのなら、特約を付加した方が安心だ」と考える人もいれば「返済負担が100万円以上変わるなら付帯を見送ろう」と考える人もいるでしょう。

団信の特約は、住宅ローンの返済途中で付帯したり解約したりできません。ご自身にとって、どこまでの保障が必要かを考えたうえで保険料負担を確認し、特約を付帯するかどうか判断することが大切です。

団信に特約を付帯させる場合、保険金が支払われる条件を確認することが大切です。

 

 

固定期間選択型は金利の固定期間終了後 のプランを考えて借り入れる

 

固定期間選択型の住宅ローンを借り入れるときは、将来のライフプランを考慮したうえで金利の固定期間が終了したあとの返済負担を確認し、返済計画を慎重に立てることが大切です。

 

例えば、金利の固定期間終了後に子どもが大学へ進学することを考慮せずに固定期間選択型を借り入れたとしましょう。金利の固定期間終了後に、返済負担の増加と教育費・進学費の支払いが重なり、返済が困難となるかもしれません。

 

また、固定期間終了時の金利水準が借入時よりも上昇していた場合、住宅ローンの店頭金利も上昇して返済負担が増えることがあります。

 

そのため、固定期間選択型を借り入れるときは、以下の点を確認し、最後まで返済できるプランを考えることが大切です。

 

◯固定期間選択型を借り入れるときに確認すべき点

  • 住宅ローンを完済するまでのライフプラン
  • 固定期間終了時の借入残高
  • 変動金利に移行した場合の返済額
  • 再び金利を固定させた場合の返済額

固定期間終了時の金利水準が上昇していた場合の返済額

 

 

金利の固定期間終了後に繰上返済をするのも選択肢の一つ

 

固定期間終了後の返済負担が、家計を圧迫する可能性があるのなら、繰上返済をするのも方法の一つです。繰上返済をすると借入元本が減るため、住宅ローン金利が上昇したときの、返済負担の増加を抑えられます。

 

ただし、貯蓄の大半を住宅ローンの繰上返済に充てるのは、おすすめできません。病気やケガで入院した場合の医療費の支払いや、退職・転職による収入の低下などに備えるための緊急予備資金は、最低でも残しておく必要があるためです。

 

また、無理に繰上返済をして貯蓄を減らした結果、子どもの進学資金が足りなくなり、住宅ローンよりも金利が高い教育ローンを利用せざるを得なくなる恐れもあります。

 

返済シミュレーションを確認した結果、繰上返済が必要だと感じた場合は、金利の固定期間中に繰上返済の資金を計画的に貯蓄しましょう。

 

 

(まとめ)

固定期間選択型は、借り入れから一定期間、変動金利並みの低金利で固定できます。そのため借り入れから一定期間は、返済負担の増加を心配することなく、借り入れ元本を着実に減らしていける点がメリットです。

 

ただし固定期間選択型は、金利の固定期間終了後に返済負担が増える恐れがあります。将来の家計を圧迫しないためにも、固定期間選択型を借り入れるときは、今後のライフプランを考慮した返済計画を慎重に立てましょう。

 

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【コラム執筆者】

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品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/