コラム

土地の名義変更時にかかる税金とは?種類や税額の計算方法を解説

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土地を取得して名義変更する際は、登録免許税や不動産取得税など、取得事由に応じた税金がかかります。

 

また、相続で土地を取得した場合は、相続税がかかる可能性がある他、相続登記をして名義変更をしなければ過料が科されるかもしれません。

 

今回は、土地の名義変更時にかかる税金の種類や税額の計算方法を解説します。

 

 

土地の名義変更では「登録免許税」がかかる 

 

土地の名義変更を行う際は、基本的に「登録免許税」がかかります。

 

登録免許税は、法務局で登記をする際に課される国税です。

 

不動産の名義変更をするときは、法務局で所有権移転登記をするため、登録免許税がかかります。

 

ここでは、登録免許税の計算方法や納める方法などを解説します。

 

 

登録免許税の税額

 

不動産の所有権移転登記をする場合、登録免許税の税額は「固定資産税評価額」をもとに計算されます。

 

固定資産税評価額とは、毎年1月1日時点で、市町村が固定資産税などの税金を計算するために算定している不動産価格のことです。

 

贈与や売買などで取得した土地の名義を変更するために所有権移転登記をする場合、登録免許税の税額は「固定資産税評価額×2%」です。

 

ただし、売買で取得した土地の所有権移転登記については、2026年(令和8年)3月まで、税率が1.5%となります。

 

例えば、1000万円の土地を贈与で取得すると「1,000万円×2%=20万円」の登録免許税がかかります。

 

 

司法書士報酬もかかるのが一般的

 

土地の所有権移転登記は、必要書類も多く不動産や法律の専門知識が求められるため、多くの方は司法書士に手続きを依頼します。

 

司法書士に支払う報酬は、土地の評価額や手続きの複雑さなどで変動します。

 

土地の名義変更の場合、5万〜15万円程度が司法書士報酬の相場です。

 

地域や事務所によっても報酬は異なるため、複数の事務所から見積を取り寄せて比較をすると良いでしょう。

 

 

土地を無償で譲渡すると「贈与税」がかかることがある

 

土地を家族などに無償で譲渡する場合、贈与税が課税されることがあります。

 

ここでは、贈与税の基本的な計算方法をみていきましょう。

 

 

年間110万円以上の財産を贈与されると贈与税がかかる

 

特に手続きをしていない場合、贈与税は「暦年課税」で計算されます。

 

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額に対して課税される制度のことです。

 

暦年課税では、1年間で贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた部分に贈与税が課税されます。

 

計算式は、以下の通りです。

 

  • (贈与された財産の価額 − 基礎控除額110万円)×税率−控除額

 

贈与税の税率は、贈与額に応じて10〜55%まで7段階に分かれています。

 

贈与財産の価額が高くなるほど適用される税率も高くなる仕組みです。

 

そのため、高額な土地を無償で譲ってもらうと、多額の贈与税がかかる可能性があります。

 

 

贈与税の税率

 

贈与税の税率には「一般税率」と「特例税率」の2種類があります。

 

特例税率は、父母や祖父母などから、18歳以上の人に対して財産が贈与されたときに適用される税率です。

 

兄弟間の贈与や夫婦間の贈与など、特例税率の対象にならない場合は一般税率が適用されます。各税率は、以下の通りです。

 

〇一般税率

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〇特例税率

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※出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

 

贈与された土地の金額が300万円を超える場合、特例税率の方が一般税率よりも税額は低く算出されます。

 

 

相続以外で土地を取得すると「不動産取得税」がかかる

 

不動産取得税は、土地や建物などの不動産を取得した人に課せられる税金です。

 

売買や贈与など相続以外の方法で土地を取得した人には、基本的に不動産取得税が課税されます。

 

不動産取得税の計算方法は「課税標準額×税率」です。

 

課税標準額は、本来であれば土地の固定資産税評価額と同じですが、2027年(令和9年)3月31日までは「固定資産税評価額×1/2」が課税標準額となります。

 

不動産取得税の税率は、原則4%ですが、2027年(令和9年)3月31日までは土地と住宅に限り3%に軽減されます。

 

例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地を取得した場合、不動産取得税の税額は「1,000万円×1/2 ×3%=30万円」です。

 

 

土地を相続で取得したときは相続税がかかることがある

 

亡くなった人(被相続人)が所有していた土地を相続したときは「相続税」が課税されることがあります。

 

また、土地を取得した相続人が「相続登記」をして名義変更をする際に登録免許税がかかります。

 

 

相続税が課税されるケースと計算方法

 

土地を相続したからといって、必ず相続税がかかるわけではありません。

 

土地を含めた正味の遺産総額が、基礎控除額を上回るときに相続税の申告と必要に応じて納税をします。

 

相続税の基礎控除額は「3,000万円 + 600万円×法定相続人の数」で計算されます。法定相続人とは、民法で定められる相続権を持つ人のことです。

 

例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人、亡くなった人が残した正味の遺産総額が土地を含めて合計6,000万円であったとしましょう。

 

相続税の基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 3人=4,800万円」です。

 

正味の遺産総額は6,000万円であり、基礎控除額4,800万円を上回っているため、相続税の申告が必要となります。

 

相続税の税率は、10%から55%までの8段階であり、相続財産が多ければ多いほど、税率も高くなります。

 

一方、所定の要件を満たして特例や税額控除を適用できると、相続税の負担を軽減することが可能です。

 

例えば、亡くなった人の配偶者が土地を相続する場合「配偶者の税額軽減」を適用できると、相続した遺産の総額が最低1億6,000万円を超えない限り、相続税はかかりません。

 

 

相続登記をする際の登録免許税

 

相続登記とは、被相続人の名義だった不動産を、相続人名義に変更する手続きのことです。

 

2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されたため、相続で土地を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に登記手続きが必要となります。

 

相続登記をして、土地の名義を変更する際も、登録免許税の納税が必要です。

 

税額は「固定資産税評価額×0.4%」であり、売買や贈与よりも税率は低くなります。

 

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を相続した場合、相続登記をする際の登録免許税は「2,000万円 × 0.4%=8万円」です。

 

もし、正当な理由なく相続登記を怠った場合、10万円以下の過料が課せられる可能性があります。

 

土地を相続したときは、期限までに必ず相続登記を済ませるようにしましょう。

 

また、相続登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。

 

 

まとめ

 

  • 土地の名義変更をする際は、固定資産税評価額に一定の税率を乗じた登録免許税を納める必要がある
  • 土地の名義変更手続きは専門的知識が必要なため、報酬を支払って司法書士に依頼するケースが多い
  • 土地を無償で譲ってもらったときは贈与税が、相続で取得したときは相続税がかかることがある

 

 

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品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/