マンションの売り時はいつ?検討する際のポイントを紹介
マンションを売却するタイミングによって、売却価格や売却期間が変わる可能性があります。
時期や築年数、売却益に課せられる税金、住宅ローン金利の動向、大規模修繕の時期など、さまざまな要素をもとに、売却のタイミングを判断することが大切です。
今回は、マンションの売り時を検討する際の5つのポイントと、より高値で売却するために押さえておきたいことを解説します。
マンションの売り時を検討する際のポイント5つ
マンションを売却する際、適切なタイミングを見極めることは非常に重要です。
売り時を逃してしまうと、希望する価格で売却できないかもしれません。
ここでは、マンションの売り時を検討する際のポイントを5つご紹介します。
1.売りやすい時期に買い手を探す
同じマンションであっても、時期によって売れやすさは異なります。
一般的には、例年1〜3月はマンションをはじめとした住宅が売却しやすくなります。
この時期は、就職や転勤、異動、子どもの入学などにあわせて、新年度を迎える4月を前に引っ越しをする人が増える傾向にあるためです。
一方で、7〜8月や、11〜12月は、マンションの需要は低下する傾向にあるため、このタイミングでの売却は避けた方が良いかもしれません。
2.築年数によってマンションの需要は変わる
マンションの価値は築年数の経過とともに下がっていき、築15年ごろになるとさらに大きく下がります。
そのため、室内や設備の劣化が比較的軽微であり価格も手ごろである、築10〜15年が売却をする1つのタイミングといえます。
築年数が15年を超えると、室内や建物、設備の劣化が進み、需要は低下しますが、まったく売れないわけではありません。
例えば、安価なマンションを探している方や、フルリフォームやリノベーションをして好みの部屋に作り変えたいと考えている方に、購入してもらえる可能性があります。
3.税金面では所有期間は5年超が有利
所有期間が5年以内のマンションよりも、所有期間が5年を超えるマンションの方が、より多くの売却代金を手元に残りやすくなります。
マンションの売却益(譲渡所得)にかかる税金の税率が下がるためです。
不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、所得税(譲渡所得税)や住民税がかかります。
税額の計算方法は、以下の通りです。
- 課税譲渡所得=譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額
- 税額=課税譲渡所得×税率
※譲渡価額:マンションの売却価格
※取得費:売却したマンションを取得したときに支払った費用
※譲渡費用:マンションを売却するときに支払った諸経費
※居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例など
税率は、マンションを売却する年の1月1日時点の所有期間に応じて決まります。
所有期間は、売却するマンションでお正月を何回迎えたかを考えると分かりやすいです。
- 5年以下(短期譲渡所得):39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
- 5年超(長期譲渡所得):20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
※復興特別所得税を含む税率
上記の通り、所有期間が5年を超える(お正月を6回以上迎えている)と、譲渡所得にかかる税率が下がるため、手元に残る売却益が増えやすくなります。
そのため「所有期間が5年を超えているかどうか」が売却のタイミングを考えるうえでの1つの判断要素といえます。
4.住宅ローン金利が低いと売れやすい
住宅ローンの金利が低く推移している時期は、マンションの購入希望者が増える傾向にあります。
低金利の住宅ローンを組むことができ、毎月の返済負担が抑えられるためです。
2024年7月現在の住宅ローン金利は、歴史的な低水準となっています。
特に変動金利は、0.2%台後半〜0.3%台前半で借り入れられる金融機関もあります。
マンション価格は上昇傾向にあるものの、住宅ローンの金利が低水準で推移しているため、エリアによっては安定した需要が見込めるでしょう。
しかし、今後も住宅ローンの金利が低いままであるとは限りません。
例えば、日本銀行(日銀)の政策変更や為替などが要因となり、引き上げられる可能性があります。
マンション売却のタイミングを検討する際は、住宅ローン金利がいつ上がる可能性があるのかを考えることも重要となります。
5.大規模修繕の時期にも注目する
マンションの大規模修繕工事は、外壁や廊下、エントランス、屋上、エレベーターなどの共用部分を修繕・メンテナンスする工事です。
一般的に、大規模修繕工事が完了した直後は、建物の外観や設備が刷新されていることで、買い手が付きやすくなります。
また、次の大規模修繕までに10年以上の期間があるマンションは、修繕積立金の負担が少なく済むため、売却しやすいといえます。
反対に、大規模修繕を間近に控えたマンションや、改修工事の最中であり建物に足場が組まれた状態のマンションは、買い手から敬遠されやすいです。
売却のタイミングを考える際は、大規模修繕の時期も考慮すると良いでしょう。
マンションを高値で売却するために押さえておきたいこと
マンションをできるだけ高値で売却するためには、以下を押さえておくことが大切です。
- 売却の準備は遅くとも半年前から始める
- 不動産市況の動向をチェックする
- 適正価格を把握して売り出す
- マンションの売却が得意な不動産会社を選ぶ
売却の準備は遅くとも半年前から始める
マンションを売却するときは、物件を不動産会社に査定してもらって媒介契約を結び、広告を作成して買い手探しを始めます。
購入希望者が現れた場合は、マンションを内覧してもらい、価格や引き渡し時期などを交渉し、双方が合意をしたうえで売買契約を締結します。
このように、マンションの売却では複数のプロセスを経なければなりません。
また売却の際は、さまざまな書類を集めたり室内を整理したりするなど、やるべきことが数多くあります。
そのため、売却を決めてから売買契約が成立するまで、一般的に3〜6か月程度かかります。
マンションをスムーズに売却するためには、売却したい時期の遅くとも半年前から準備を始めると良いでしょう。
不動産市況の動向をチェックする
不動産市況によって、マンションの売れやすさは異なります。
例えば、不動産市況が好調であり、需要が高まっているときはマンションを売却しやすくなります。
反対に、不動産市況が低迷しており、マンションを買いたいと考える人が減ると売れにくくなります。
売却のタイミングを判断するうえでは、日ごろから新聞やテレビ、インターネットなどで不動産市況に関する情報を定期的にチェックしておくと良いでしょう。
とはいえ、不動産取引の専門家でなければ、市況を正しく読むのは難しいため、プロである不動産会社に相談することをおすすめします。
適正価格を把握して売り出す
マンションを売り出すタイミングが適切であったとしても、売り出し価格の設定を誤ると、希望する価格での売却は難しくなります。
あまりに高い価格で売り出してしまうと、買い手が付かず、売却期間が長引いてしまうかもしれません。
反対に、売り出し価格が安すぎると、高値で売却する機会を逃してしまうでしょう。
買主から価格交渉を持ち出された際、値上げを求められることは基本的にないためです。
マンションを売却する際は、周辺の価格相場を調べ、売り出し価格を適切に設定することが大切です。
価格相場を把握するときは、マンションの近隣にある条件が似た物件の販売価格をインターネットで調べると良いでしょう。
また、複数の不動産会社にマンションを査定してもらい、結果とその算出根拠を比較するのも有効です。
マンションの売却が得意な不動産会社を選ぶ
一口に不動産会社といっても得意分野は異なります。
マンション売却が苦手な不動産会社に依頼してしまうと、希望通りに売却できないかもしれません。
そのため、マンションを売却する際は、売却実績やノウハウが豊富で信頼できる不動産会社に依頼をすることが大切です。
マンション売却が得意な不動産会社は、地域の不動産取引に関する情報や不動産市況の動向などに精通しています。
適切に売り出し価格を設定したうえで、より高値で売却するための戦略や準備すべきことなどを提案してくれるでしょう。
「餅は餅屋」という言葉にもあるように、マンションの売却は、マンション売却の実績やノウハウが豊富な不動産会社を慎重に選ぶことが大切です。
まとめ
- 1〜3月の新生活シーズンや住宅ローン金利が低いとき、大規模修繕の直後などはマンションが比較的売れやすい
- マンションの築年数や譲渡所得税にかかる税率も踏まえたうえで売却するタイミングを判断する基準となる
- 売却準備は遅くとも半年前から始め、不動産市場の動向をチェックしつつ、適正価格で売り出すことが重要
品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
https://daisakukobayashi.com/