コラム

フラット35維持保全型とは?制度内容や対象となる住宅の種類を解説

1651214677-5SQv1.png

 

フラット35は、全期間固定金利型の住宅ローンです。返済期間は、最長35年となります。また購入する住宅の環境性能や購入するエリアなどが所定の要件を満たすと、借り入れから一定期間の金利が引き下げられるのもフラット35の特徴です。

 

2022年4月からは、フラット35の新たな金利引き下げメニューである「フラット35維持保全型」の取扱いが開始されます。

 

本記事では、フラット35維持保全型の内容や特徴、対象となる住宅の種類を解説します。

 

 

そもそもフラット35とは

 

フラット35は、金融機関と住宅金融支援機構が提供する住宅ローンです。全期間固定金利型の住宅ローンであり、完済するまで金利は変わりません。そのため、組んだときに毎月の返済額と返済総額が確定します。返済期間は、最長35年です。

 

フラット35は、全国にある銀行や信用金庫、預金業務をしない金融機関であるノンバンクなどで契約が可能です。借入金利は、金融機関やローンの返済期間、融資率(住宅の建築費または購入価格に占める借入額の割合)などで決まります。

 

フラット35については、コチラの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

『フラット35とは?特徴や向いている人などをわかりやすく解説』

 

 

 

フラット35維持保全型とは

 

フラット35維持保全型は、維持保全・維持管理に配慮した住宅や、市場で流通しやすくなるような取り組みがなされた既存住宅(中古住宅)を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。

 

フラット35維持保全型の金利引き下げ期間と引き下げ幅は、次の通りです。

 

 

  • 金利の引き下げ幅:年0.25%

 

  • 金利の引き下げ期間:5年間

 

 

例えば、フラット35の借入金利が1.4%である場合、借入当初5年間は0.25%が引き下げられて、1.15%となります。

 

 

 

フラット35維持保全型の対象

 

フラット35維持保全型は、以下のいずれかに該当する住宅が対象です。

 

1. 長期優良住宅:耐震性能や省エネ性能、バリアフリー性能などが一定の基準を満たしていている新築住宅または中古住宅

 

2. 予備認定マンション:管理規約と長期修繕計画の案が一定の基準を満たして「予備認定」を受けた新築マンション

 

3. 管理計画認定マンション:管理規約や長期修繕計画などが一定の基準を満たし「管理計画認定」を受けた中古マンション

 

4. 安心R住宅:耐震性があることに加え、建物状況調査等がされており、かつリフォームが実施済みまたは実施予定である情報提供が行われる中古住宅

 

5. インスペクション実施住宅:既存住宅状況調査の方法にもとづき調査が行われており、劣化事象や著しい損害・腐朽・腐食、構造耐力上の問題などが見られないと確認された中古住宅

 

6. 既存住宅売買瑕疵保険付保住宅:既存住宅売買瑕疵(かし)保険が付いている住宅

 

※参考:フラット35『【フラット35】維持保全型(利用要件)

 

 

 

高い環境性能がある住宅や所定の認定を受けたマンション、建物の状況が調査された住宅、欠陥に対する保証がある住宅などが、フラット35維持保全型の対象です。

 

予備認定マンションと管理計画認定マンションは、管理規約や長期修繕計画が所定の要件を満たしていると認定されます。予備認定マンションは、公益財団法人マンション管理センターが、管理計画認定マンションは地方自治体がそれぞれ認定します。

 

既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅を購入したあとに所定の欠陥が見つかった場合、保険金が支払われる制度です。住宅の検査と保証がセットになっており、加入するためには住宅の基本的な性能について、専門の建築士による検査を受けて合格しなければなりません。

 

 

ほかの金利引き下げメニューとの併用が可能

 

フラット35には、以下の通りさまざまな金利引き下げメニューがあります。

 

 

  • フラット35S:省エネルギー性や耐震性などが高い住宅を取得したときに金利を引き下げる制度 

 

  • フラット35リノベ:中古住宅の購入と合わせて一定の要件を満たすリフォームをしたときに金利を引き下げる制度

 

  • フラット35地域連携型:子育て世帯や地方移住者などに対して積極的な取り組みを行う地方自治体でマイホームを購入すると利用できる金利引き下げ制度

 

 

金利引き下げメニューが適用できると、フラット35の借り入れから5年または10年間にわたって借入金利が年0.25%程度引き下げられます。

 

フラット35Sには、金利AプランとBプランの2種類があり、金利が引き下げられる期間が異なります。Aプランは借入当初10年、Bプランは借入当初5年にわたって、借入金利が0.25%引き下げられます。

 

フラット35維持保全型は、フラット35Sやフラット35地域連携型との併用が可能です。例えば、フラット35Sの金利Aプランとフラット35維持保全型の両方の条件を満たした場合は、借入当初から5年間は年0.5%、6〜10年目は年0.25%がそれぞれ引き下げられます 。

 

また、フラット35Sやフラット35維持保全型、フラット35地域連携型のすべてを併用することも可能です。ただし、フラット35リノベとの併用はできません。

 

 

 

フラット35Sやフラット35地域連携型も制度が一部変更に

 

フラット35維持保全型の取扱い開始以外にも、さまざまな点が変更されます。主な変更点は以下の通りです。

 

  • フラット35Sの基準が見直し

 

  • フラット35S(ZEH)の取り扱い開始

 

  • フラット35地域連携型(子育て支援)の金利引き下げ期間を拡大 

 

 

フラット35Sの基準を見直し(2022年10月から)

 

2022年10月からは、フラット35Sの対象となる住宅性能の基準が以下の通り変更されます。

 

 

  • 省エネルギー性能の基準を強化

 

  • 耐震性能の基準に免震建築物を追加

 

  • 中古住宅における金利 A プランの条件を新築住宅の金利Bプランの水準に見直し

※省エネルギー性能は除く

 

 

省エネルギー性能の基準については基準が強化されたのに対し、耐震性能については緩和されています。また、中古住宅における金利 A プランの適用条件も緩和されました。

 

 

フラット35S(ZEH)の取り扱い開始(2022年10月から)

 

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、断熱等性能や住宅が消費するエネルギーの熱量(一次エネルギー消費量)が、一定の基準を満たした住宅です。

 

2022年10月からは、購入する住宅がZEH等の基準に当てはまった場合、借入当初5年間は年0.5%、6年〜10年目までは年0.25%の金利が引き下げられます。

 

 

フラット35地域連携型(子育て支援)の金利引き下げ期間を拡大(2022年4月以降)

 

フラット35地域連携型には、子育て支援と地域活性化の2種類があります。これまでは、どちらも、借入当初から5年間にわたって金利が年0.25%引き下げられる制度でした。

 

それが2022年4月以降は、フラット35地域連携型(子育て支援)については、金利の引き下げ期間が借入当初の10年間へと延長されます。一方、フラット35地域連携型(地域活性化)については、制度内容に変更はありません。

 

 

まとめ

 

  • 購入する戸建て住宅やマンションが、フラット35地域連携型の要件に当てはまっていると、借入当初5年間の金利が年0.25%引き下げられます。また、フラット35Sやフラット35地域連携型との併用も可能です。

 

  • 長期優良住宅や予備認定マンション、管理計画認定マンションなどのいずれかに該当していると、フラット35維持保全型の対象となります。詳しい該当条件や引き下げられたあとの返済負担などは、不動産会社の担当者までお問い合わせください。

 

 

 

 

【コラム執筆者】

1613137682-8O7Tj.jpg

品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/