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フラット35とは?特徴や向いている人などをわかりやすく解説

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フラット35という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような特徴がある住宅ローンなのかご存じない方も多いのではないでしょうか。フラット35には、民間の金融機関が独自に取り扱う住宅ローンとは異なった特徴があります。

 

マイホームの購入を検討している方は、フラット35も含めて住宅ローンを検討することで、よりご自身に合った返済計画を立てやすくなるでしょう。

 

本記事では、フラット35の特徴やメリット、向いている人などを解説します。

 

 

フラット35とは

 

フラット35は、銀行をはじめとした金融機関と住宅金融支援機構が共同で提供している住宅ローンです。返済期間は、最長35年です。またフラット35は、全期間固定金利型の住宅ローンであるため、完済するまで金利が変わりません。

 

住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンを利用した人のうち11.2%が全期間固定金利を選択しています。そして全期間固定金利型を選んだ人の約6割が、フラット35を利用しているのです。

※住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2021年4月調査) 

 

 

 

フラット35は、都市銀行や地方銀行、信用金庫、ネット銀行などさまざまな金融機関で申し込めます。また、住宅ローンを専門的に取り扱う金融機関である「モーゲージバンク」で申し込むことも可能です。

 

ただし、フラット35を利用できるのは、居住用の物件を購入・新築するときです。投資用の不動産や店舗などを取得するときは、フラット35を利用できません。

 

 

 

フラット35の特徴

 

では、フラット35にはどのような特徴があるのでしょうか?ここでは、フラット35の特徴を5点解説します。

 

 

 

 

1.全期間固定金利型の住宅ローン

 

フラット35は、完済まで金利が変わらない全期間固定金利型の住宅ローンであるため、融資が実行されたときに、返済終了までの金利と返済額が確定します。

 

変動金利型の住宅ローンを選んだ場合、返済の途中で世の中の金利が上昇すると返済負担が増える可能性があるため、借り入れた時点で返済額が確定しません。

 

フラット35であれば、借り入れたときに毎月の返済額と返済総額が決まります。そのため「子どもの進学費を300万円貯める」「老後資金として3,000万円貯める」など、将来の資金計画が立てやすいといえます。

 

 

 

2.融資率や返済期間などで金利が変わる

 

フラット35の借入金利は、融資率や返済期間に応じて変わります。融資率とは、フラット35の借入額を購入するマイホームの建築価格や購入価格で割った値です。

 

例えば、購入価格が4000万円、フラット35の借入額が3,600万円であった場合、融資率は9割となります。

 

 

2021年12月時点におけるフラット35の借入金利は、以下の通りです。

 

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※出典:住宅金融支援機構

 

 

融資率が低く返済期間が短いほど、フラット35の借入金利は低くなります。ただし金融機関によってフラット35の金利が異なるため、検討するときによく確認しましょう。

 

 

 

3.団体信用生命保険に加入しなくても借り入れできる

 

団体信用生命保険は、住宅ローンを返済している人が返済途中で亡くなったときに、以後の返済が不要になる保険です。銀行をはじめとした金融機関で住宅ローンを組む場合、基本的に団体信用生命保険に加入する必要があります。

 

フラット35には、専用の団体信用生命保険である「新機構団信」が付帯されていますが、加入が必須であるわけではありません。そのため新機構団信に加入しなくても、フラット35を申し込めます。

 

新機構団信加入しなかった場合、 フラット35の借入金利が0.2%引き下げられます。

 

 

 

4.保証人と繰上返済手数料が不要

 

フラット35を申し込む際は、保証人を準備する必要がありません。保証会社による不要であるため、民間の金融機関が取り扱う住宅ローンとは異なり、保証料がかからない点も特徴です。

 

また、フラット35を繰り上げ返済するときや返済方法を変更するときの手数料もかかりません。

 

 

5.豊富な金利引き下げメニュー

 

フラット3には、所定の要件を満たすと金利が引き下げられるさまざまなメニューが用意されています。選択できる金利引き下げメニューの例は、以下の通りです。

 

 

  • 【フラット35】S:省エネルギー性や耐震性などが高い住宅を取得したときに金利を引き下げる制度

 

  • 【フラット35】リノベ:中古住宅の購入と合わせて一定の要件を満たすリフォームをしたときに金利を引き下げる制度

 

  • 【フラット35】地域連携型:子育て世帯や地方移住者などに対して積極的な取り組みを行う地方自治体でマイホームを購入すると利用できる金利引き下げ制度

 

 

例えば、フラット35Sの金利プランを適用できると、借入当初10年間の金利が0.25%引き下げられます。認定長期優良住宅をはじめとした環境性能が高い住宅を購入するときは、フラット35の借入を検討すると良いでしょう。

 

 

 

フラット35の融資条件

 

フラット35を借り入れるためには、借入額や返済負担率(年収に占める返済額の割合)などが一定の基準を満たしている必要があります。

 

融資条件の例は、以下の通りです。

 

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※【フラット35】ご利用条件 をもとに作成

 

 

 

返済負担率には、フラット35の返済額だけでなく、自動車ローンや教育ローンなどの返済額も含まれます。

 

また、フラット35借り入れるためには、購入する物件が一定の技術基準を満たしていなければなりません。

 

なお、子どもなどや孫など一定の要件を満たす人と2世代でフラット35を返済する「親子リレー」返済をする場合、70歳以上の方でも借り入れできる可能性があります。

 

 

フラット35が向いている人の例

 

フラット35が向いている人の例は、以下の通りです。

 

 

  • 住宅ローンの審査に通過しにくい人

 

  • 金利の上昇を心配したくない人

 

  • 団信に加入せず住宅ローンを組みたい人

 

 

 

それぞれについて解説していきます。

 

 

住宅ローンの審査に通過しにくい人

 

自営業者や転職して間もない方は、都市銀行や地方銀行などが独自に取り扱っている住宅ローンの審査に通過しにくいといわれています。これは、収入が安定しておらず住宅ローンの返済が滞るリスクが高いと判断されやすいためです。

 

フラット35は、融資条件を満たしていれば、自営業や転職して間もない方でも審査に通過できる可能性があります。民間金融機関の住宅ローンを借り入れできなかった方は、フラット35を検討するのも方法でしょう。

 

 

金利の上昇を心配したくない方

 

フラット35は全期間固定金利であり、完済まで毎月の返済額が変わりません。変動金利で借りたときとは異なり、返済の途中で金利の上昇による返済負担の増加が心配になることはないでしょう。

 

一方でフラット35の借入金利は、変動金利型の住宅ローンよりも高く設定されています。

 

フラット35を検討するときは、返済シミュレーションを確認し、金利負担が高くなってでも返済額が変わらない安心を取るべきなのかを考えることが大切です。

 

 

 

団信に加入せず住宅ローンを組みたい人

 

フラット35は、新機構団信に加入しなくても組めます。

 

例えば「新機構団信に加入せずフラット35を借り入れて、万一とのときの残債は民間の生命保険でカバーする」といった選択も可能です。

 

生命保険会社が取り扱う生命保険には「過去1年以内に喫煙をしていない」「血圧が BMI が一定の範囲内」 などの条件を満たすと保険料が割引されるものがあります。

 

新機構団信に加入しない場合は、フラット35の借入金利が0.2%引き下げられて返済額が減ります。そのため新機構団信に加入するよりも、民間の生命保険に加入したほうが負担を抑えられることがあるのです。

 

団信に加入せず、民間の生命保険で毎日の保障を準備したいのであれば、フラット35も選択肢に含めると良いでしょう。

 

 

 

 

 

まとめ

 

・フラット35は全期間固定金利の住宅ローンであるため、返済負担の増加を心配することなく返済を進められる。

 

・環境性能が高い物件や所定の自治体にある物件を購入し所定の要件を満たすと、借入金利が引き下げられます。フラット35の借入金利が引き下げられることで、返済負担を抑えつつ固定金利の安心を得られます。

 

・マイホームの購入を考えている方は、民間金融機関が独自に取り扱う住宅ローンだけでなくフラット35も選択肢に含めてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

【コラム執筆者】

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品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/