コラム

相続した実家を売るときのポイント

相続したが、放置された空き家。いざ売ると決めたら高く良い条件での売却を実現したいものです。しかし右も左もわからない状態では、売却価格や税金の面で、思わぬ損をしてしまう可能性があります。今回は、相続した実家を売るときのポイントを紹介します。



土地・戸建どちらで販売すればよいか?

 

建物が築年数20年以内の木造住宅である場合、住宅ローン控除の適用対象となるため、戸建として売ると買い手が見つかりやすくなるでしょう。

 

築年数20年を超える建物であっても、リフォーム履歴があるなど室内状況が良い場合は、戸建として建物価値を加算した売却ができる可能性があります。築年数30年以上経過した建物で住まいとして利用できるか否かの判断がしづらい築古物件を売却する場合は、エリアに応じて、売却戦略を練る必要があります。

 

 例えば、東京のような都心部では、20坪6,000万円の土地に築古の家が建っている場合、建て替えし、新しい住宅に居住したいという買い手ニーズが多く、土地として売ったほうが高値で売却できる可能性があります。

 

 一方で郊外は、都心と住宅価格やニーズが異なります。仮に建売の新築住宅が1,980万円であるのに対し、築古の家付きの土地が同規模で500万円であった場合、購入者が後者を選ぶケースがあります。

 

土地+築古物件の取得費用500万円に300万円程度のリフォーム費用を足しても合計800万円程度です。郊外地域では新築住宅に対して半分の金額で居住が可能になるため、住宅コストを抑えたいと考える人に戸建として購入してもらえる可能性があるのです。

 

 当然、郊外エリアでも、建物を取り壊して住宅を新築したいと考える方はいます。そのため買い手側が「土地」または「戸建」を選択できるように販売をしたほうが、売却できる可能性は高まります。

 

 

売出しのタイミング

 

 不動産は、一般的に秋口〜春にかけて売れやすくなるといわれています。転勤、子どもの進学などを理由に年度が変わる4月までに引越しを希望する人が多く、住宅流通が盛んになるためです。

 ただし、土地として売出しする場合は、買い手が土地を購入してから建て替えする期間を要するため、無理に秋口〜春にかけて売り出す必要はありません。

 

 

田舎の不動産は売れるのか

 

 新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークを導入する企業が増えました。しかし田舎の住宅需要が増えているわけではありません。新型コロナの収束後、オフィスでの勤務が再開される可能性があるため、実際は都心部から1時間以内で通える圏内の住宅需要が少し伸びている程度です。

 

 田舎にある空き家は、流通性が低いことから「売却まで3年かかった」「4年たっても売却できなかった」など販売期間が長期化することや厳しい結果を覚悟しなければなりません。

 

長期的に試みても売却が難しい場合は、安価になったとしても不動産会社や隣接する所有者に買い取ってもらうのも方法です。確実な売却を選択することで、固定資産税をはじめとした将来のランニングコストを負担せずに済みます。

 

 

土地の境界・越境について

 

「土地の境界標がない」「植栽、塀、水道管が越境している」場合でも、売却価格に影響がでる可能性があります。早い段階で近隣住民との調整を行い、問題解消をしてから売却することが望ましいです。

 

 相談先が良い不動産会社であれば測量や調整のサポートを行ってくれますが、悪徳な不動産会社にあたってしまうと「問題があるため安くでしか売れません」と強引に相場よりも遥かに安い価格でクロージングされてしまうケースがありますので注意が必要です。

 

 

居住用不動産の3,000万円控除を使うために住むべき?

 

 不動産を売却して、利益(譲渡所得)が発生した場合は、所得税や住民税を納めなければなりません。ただし売主が住んでいた住宅を売却し、所定の要件を満たす場合、居住用不動産の3,000万円特別控除が適用できるため、3,000万円までの譲渡所得が非課税となります。

 

 自身や家族の生活に支障がないのであれば、空き家に一定期間住むのも一つの方法です。

 

 

空き家の3,000万円控除を使えるか?

 相続空き家の3000万円特別控除とは、相続により取得した空き家を取り壊し更地にし、所定の要件を満たしたうえで令和年5年12月31日までに売却した場合、3,000万円までの譲渡所得が非課税となる制度です。

 

売却により譲渡所得が発生する可能性があり、空き家が昭和56年5月31日以前に建築された住宅である場合は利用を検討しましょう。

 

 

取り壊してから売るか、そのまま売るか

 

  買い手が見つかる前に更地にすると、取壊し費用を売却金から捻出できず先出しが必要となるだけでなく、固定資産税の税額が約6倍に増えてしまいます。また、築古の物件を購入してリフォームしたいと考える方に選ばれることがなくなってしまいます。

 

そのため、販売時の売却条件は、建物はそのまま引き渡して、解体費用負担や利用は買主に委ねる「現況渡し」がおすすめです。「相続空き家の3,000万円特別控除」を適用する場合も、販売期間中は建物をそのままにしておき、買主が見つかってから取り壊しましょう。

 

 

まとめ


・築年数と地域によって有利な販売方法を選択する

・土地の境界、測量は早めに取り掛かりする

・税金控除の特例が使えるか確認する

・建物は買主が見つかってから解体がおすすめ

 

 

 

 

 

 

 

 

【コラム執筆者】

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山本 健司

プロフィール

ミライアス株式会社代表取締役。大手不動産会社で全国1位の成績を連続受賞。不動産相談件数16,000件超。著書『初めてでも損をしない 不動産売却のヒケツ(サンルクス出版)』