コラム

遺言が見つかった場合に必要となる検認手続き

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故人の息子・娘が何年も前に家出して音信普通、配偶者が家を出て行ってそのまま…など、何らかの事情で家族の中に行方不明の方がいる場合があります。今回のコラムでは、家族に行方不明の方がいる場合の相続について解説します。

 

検認とは

検認は、遺言があるということとその内容が形式的に整っているかを確認するのみなので、遺言の効力を証明するわけではありません。ですので、検認済の遺言書であっても、内容に不備があれば、後日、遺言の全部又は一部が無効になることはありえます。遺言の有効・無効と検認済みかどうかは一切関係がないので注意が必要です。

遺言書の内容に基づいて預金の相続手続や不動産の相続手続をする際、金融機関や法務局では、検認がされていない遺言では手続を進めることができません。ですので、遺言に基づいて相続手続きをする際には検認が必要となります。

検認を怠ると、罰則があり、5万円以下の過料に処せられることがありますので、こちらも注意が必要です。

 

 

検認の効力

相続人の中に行方不明の方がいる場合、遺産分割協議の前に、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立する方法があります。

従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)がいる場合、家庭裁判所は、申立てにより、不在者自身や利害関係を有する第三者の利益を保護するために、財産管理人選任等の処分を行うことができます。

家庭裁判所が不在者財産管理人を選任すれば、不在者の代わりに不在者財産管理人が加わって、相続人全員で有効な遺産分割協議を行うことが可能になります。

ただし、不在者財産管理人が少なくても法定相続分以上の財産を取得する内容でなければ、遺産分割協議を成立させることができないことに注意が必要です。行方不明だからといって、例えば不在者に遺産は何も渡さないという内容では遺産分割協議を成立させることはできないのです。

 

 

検認が必要となる遺言の種類

遺言には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があるのですが、このうち検認が必要となるのは前二者です。公正証書遺言は、そもそも公証役場に原本が保管されることになるので、その存在は明らかであり、また、偽造ということも原理的に不可能だからです。令和2年7月10日から施行された遺言保管制度を利用した場合も、同様の理由で自筆証書遺言であったとして検認は不要になります。

 

検認手続き

家庭裁判所に遺言書の検認申立をすると、相続人全員に裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知がされます。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、相続人全員が揃わなくても検認手続は行われます

検認期日では申立人が提出した遺言書を、出席者の立会のもと開封し、検認手続が行われます。その後、検認済証明書の申請をすることが可能となります。

 

検認申し立てに必要な書類

家庭裁判所での検認申立の際の一般的な添付書類は以下の通りです。

・申立書
・遺言書
・遺言者の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本

遺言者に子供や直系尊属(両親・祖父母)がいなかった場合、検認申立のためには遺言者だけでなく遺言者の両親の出生から死亡まで戸籍謄本を集めなければなりません。戸籍謄本を集めるだけで1~2ヶ月かかることもあります。検認期日の指定は、通常申立から1~2ヶ月先に指定されることが多いので、検認申立ての準備から完了まで、通常3~4か月はかかることになります。

検認手続を要する自筆証書遺言は、遺言者が亡くなってから遺言書の内容を実行するまでに時間がかかることがデメリットの一つになっています。

 

 

【コラム執筆者】

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髙橋 朋宏

プロフィール

経堂司法書士事務所代表司法書士。一般社団法人相続総合支援協会理事。不動産と相続に関する分野に専門性を有する。難しいことを分かりやすく説明することを得意とし、ラジオ出演、新聞・雑誌への寄稿、セミナー、講演活動などを行うタレント文化人。

経堂司法書士事務所|世田谷区で30年の実績 (kyodo-office.com)