コラム

マイホーム売却で損をしないために選ぶべき媒介契約

1627684046-twZ3W.png

不動産の売却を不動産会社に委託する際、締結する媒介契約。媒介契約は、書面で契約をする必要があります。

 

媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、不動産会社との契約時に自分で選ぶことができます。しかし、初めての不動産売却ではどの媒介契約を選んでよいか判断がつきにくいことも。

 

今回はマイホームを売却する際、損をしないために選ぶべき媒介契約について解説します。

 

 

媒介契約の種類と違い

 

媒介契約の締結は宅地建物取引業法によって定められています。売主の保護や流通促進・安全確保を図るための重要な契約となります。

 

「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」それぞれの媒介契約には特徴があります。3つの媒介契約の特徴の違いは、大きく分けて以下の4項目になります。

 

➀指定流通機関(レインズ)への登録義務

 

②依頼主への販売活動の報告義務

 

③複数(不動産)業者との契約

 

④自己発見取引(自ら発見した相手との取引)

 

 

1625954466-aQAYe.jpg

 

 

 

「一般媒介契約」にはデメリットが多い

 

一般媒介契約は、売主さんが複数の会社に、同時に売却を依頼できる契約形態です。一般媒介契約で契約した複数の会社が同じ物件の販売活動を一斉に行ない、売買契約が成立すると、買主さんを見つけてきた1社にのみ、仲介手数料が支払われます。

 

売主さんにとっては好都合に思えますが、実はこれが一般媒介契約のひとつ目のデメリットです。不動産会社にしてみれば、どんなに販売活動に力を入れても、他社が買主さんを見つけてしまえば、それまでの苦労は水の泡。媒介契約を結んでいるのに、仲介手数料ももらえません。それがわかっているので、担当者ががんばる気になれないのです。

 

一般媒介契約では、物件情報をレインズに登録する義務がありません。これが2つ目のデメリットです。複数の会社と契約していても、レインズに情報を出さない会社があれば、物件情報は広がっていきません。しかも他決される可能性があるからと、広告もせず放置されることもあり、いつまでたっても買手がつかない物件が出てきたりします。 

 

さらに3つ目のデメリットとして、一般媒介契約を結んでいる不動産会社は、売主さんに販売活動の進捗状況を報告する義務がなく、売主さんはいま何が起きているのかわからないままです。

 

誰にも知られることなく売却をしたい際には利用されることがありますが、マイホーム売却を行う場合、結局、売主さんの機会損失になり安値での売却になってしまう可能性が高いことから、私は一般媒介契約をお勧めしていません。

 

 

1社が責任をもって販売する「専任媒介契約」

 

1社に責任をもって販売活動をしてもらう契約形態には、専任媒介契約と専属専任媒介契約があり、専任媒介契約を選ぶことが多いです。

 

専任媒介契約では、あなたの物件の情報は1社にしか渡りません。もしその会社がしっかり情報発信をしないと、売主さんも、物件を探している人も、機会が失われて不利益をこうむります。

 

そこで売主さんと専任媒介契約を結んだ不動産仲介会社には、媒介契約から7営業日以内に、必ずレインズに物件情報を登録することが義務づけられています。レインズに載ることで、多くの人に物件情報が届き、広く買手を探すことができるわけです。

 

専任媒介契約では、販売活動の進み具合について、2週間に1回以上のペースで売主さんに報告が入ります。自分の物件の状況が把握できるので安心ですし、担当者と定期的にコミュニケーションをとるなかでは、疑問や気がかりがあっても相談しやすく、まさに“専任”契約です。

 

最後の専属専任媒介契約は、ほとんど専任媒介契約と同じですが、レインズへの登録が媒介契約から5営業日以内、売主さんへの報告も週1回以上と、やや厳しい設定になっています。

 

売主さんがたまたま自分で買手を見つけた場合、一般媒介・専任媒介では当事者間で直に取引をしてもかまいませんが、専属専任媒介では必ず不動産会社を通し、仲介手数料も支払わなくてはなりません。

 

自分で買手を見つけることなどあまりないかもしれませんが、親戚や知り合いから声がかかりそうな方は、専属専任媒介は避けたほうがよいでしょう。

 

 

問題のある会社との契約も、3カ月で終了できる

 

専任媒介と専属専任媒介は、売主さんが1社と交わす契約ですから、売主さんにとって拘束力が強い一面があるため、契約期間は3カ月以内と短く設定されています。更新も3カ月(以内)と決まっており、3カ月ごとに売主さん側から申し出る形で更新します。

 

更新をしなければ契約は終了し、別の会社と契約し直すことができます。

 

 

 

 

まとめ

 

・担当者のやる気が下がる一般媒介契約。誰にも知られず売却したいなどの特殊な事情がなければ避けるべき。

 

・専任(専属専任)媒介契約は必ずレインズ登録されるため、不動産会社が何社でも、自発的に販売に参加してくれる。

 

 

 

 

 

【コラム執筆者】

1613136167-2RGKI.jpg

山本 健司

プロフィール

ミライアス株式会社代表取締役。大手不動産会社で全国1位の成績を連続受賞。不動産相談件数16,000件超。著書『初めてでも損をしない 不動産売却のヒケツ(サンルクス出版)』