コラム

配偶者・子供がいない場合の、おひとりさまの相続を解説

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相続が発生すると、多くの場合、遺産は配偶者や子どもが相続することになります。しかし、価値観が多様化した現在では、人生や家族のあり方についても変化しています。

 

核家族化、晩婚化、少子化が進んでおり、子どもがいない夫婦、離婚する夫婦も珍しくありません。配偶者や子どもがいない、いわゆる「おひとりさま」の場合、遺産を誰が相続することになるのでしょうか。今回のコラムでは、いわゆる「おひとりさま」の相続について解説します。

 

おひとりさまの相続人

 

両親またはいずれかの親が健在の場合、遺産は親が相続することになります。両親ともに亡くなっていたとしても、祖父母の両方またはいずれかが健在であれば、祖父母が相続することになります。

 

両親も祖父母も亡くなっていた場合、兄弟がいれば、遺産は兄弟が相続することになります。そして、兄弟が先に亡くなっていた場合、その子供である甥や姪が相続することになります。

 

例えば、亡くなった「おひとりさま」の両親、祖父母、兄が先に亡くなっており、弟と兄の2人の子供が健在であれば、弟と兄の2人の子供が法定相続人となり、法定相続分は弟が2分の1、兄の2人の子供がそれぞれ4分の1ずつ、ということになります。

 

 

法定相続人が誰もいない場合

 

両親も祖父母も亡くなっており、一人っ子で兄弟もいない、つまり法定相続人が誰もいない場合、遺産は最終的に「国庫に帰属する」(民法第959条)こととなります。今年1月の報道によれば、2017年度、遺産の相続人が不在で国庫に納められた財産の総額は約525億円にもなったとのことです。


なお、法定相続人が誰もいない場合には、特別縁故者からの申し立てがあれば、その者が相続を受ける場合があります。

 

 

ご自身の意思を反映させるために

 

配偶者や子供がいない場合、兄弟姉妹等の法定相続人への相続や国庫への帰属を全く希望しない人は少なくありません。法定相続人にはあたらない親族や特定のお世話になった方への遺贈、又は病院、施設、研究機関等への寄付などをご希望の場合は、やはり遺言書の作成が必要です。

 

遺言書がなければ死後の相続について自分の希望を反映させることはできないのです。遺言書の中で遺言執行者の指定までしておくのが望ましいといえます。

 

 

 

 

 

【コラム執筆者】

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髙橋 朋宏

プロフィール

経堂司法書士事務所代表司法書士。一般社団法人相続総合支援協会理事。不動産と相続に関する分野に専門性を有する。難しいことを分かりやすく説明することを得意とし、ラジオ出演、新聞・雑誌への寄稿、セミナー、講演活動などを行うタレント文化人。

経堂司法書士事務所|世田谷区で30年の実績 (kyodo-office.com)