不動産買取とは?不動産会社による 「買い取り」のリスクとは?
不動産を売却する方法として一般的なのは、不動産会社に依頼して買手を探してもらう「仲介」です。これとは別に、不動産会社自体が物件を買い取る仕組みもあります。これが「買い取り」です。今回は不動産業者による買取について解説します。
買手がつきにくい物件を業者が購入
業者が買い取りを行う目的は転売です。
中古のマンションや戸建てをピカピカにリフォームして高値で販売したり、土地を分割して分譲地もしくは建売住宅として売り出したりします。一般の人が買いそうにない不動産を売りたい場合、買い取りは妥当な選択といえるでしょう。
買い取りの場合、価格交渉がまとまればすぐ買い取ってもらえるので、不要な不動産を短期間でお金に換えたい売主さんにとっては魅力です。瑕疵担保(契約不適合)責任も負わずに済むため、売却後の心配もありません。ただし「仲介」に比べて売買価格が安くなることは承知しておきましょう。
買い取り価格は一般に相場の70%程度といわれています。しかし、市場に物件数が少ない場合や、地域に競合物件が無い場合、希少性の高い不動産などは相場の90%程度まで買取価格が提示されるケースもあります。
悪徳仲介担当者に注意
買い取りには、直接不動産会社に買取してもらうほかに、不動産仲介で買手を探してもらっているなかで、別の不動産会社が買いたいと手をあげるケースがあります。
一般の人が買うには大きすぎる土地などでは、最初から不動産会社を対象に、販売活動を行うこともあります。
特に後者の場合、契約している仲介会社の担当者が、自分にリベートが入る買い取り業者を優先的に推してくることが珍しくありません。リベートをくれる業者の手に物件を落とすため、あたかも100社に物件を紹介したかのような架空のリストを作って、「そのなかのベストチョイスです」と、手の込んだウソの報告をするような担当者もいると聞いています。
もちろん、そんな手に乗ってはいけません。担当者ではなく、売主であるあなたにとって、最も条件のよいオファーを選ぶべきです。担当者が何社に物件を紹介し、結果はどうなのか、必ず細かい報告を求めて比較検討してください。
「仲介」と「買取」どちらを選べばよい?
やり直しがきかない不動産売却。高く良い条件での売却実現を狙いたいところです。物件自体に問題が無く、売却期限に余裕がある場合は「仲介」を選んだほうが良いでしょう。以下のような場合は、買取を検討する必要があります。
・すぐに現金化したい(即時買取)
・住み替え先が決まっていて、現金化したい時期が確定している
・売却していることを知られたくない
・築年数が古く室内状況が著しく悪い
・長期間「仲介」で売出しているが買い手が見つかっていない
・事故物件
・一般の人が購入するには広すぎる(土地)
まとめ
・不動産会社による買い取りの利点はスピード
・買い取り価格は相場より3割程度安くなる
・複数のオファーがあるときは、よく比較検討する
・担当者にとって都合のよい契約を迫られるリスクがあるため注意
【コラム執筆者】
山本 健司
プロフィール
ミライアス株式会社代表取締役。大手不動産会社で全国1位の成績を連続受賞。不動産相談件数16,000件超。著書『初めてでも損をしない 不動産売却のヒケツ(サンルクス出版)』『損しない! モメない! 実家の不動産相続のヒケツ(サンルクス出版)』