住宅購入時に諸費用はいくらかかる?費用の内訳や金額を解説
住宅を購入するときは、税金や手数料などの諸費用をしはらわなければなりません。住宅を購入しようと資金計画を立てるときは、住宅の取得費用だけでなく諸費用も考慮する必要があります。
本記事では、住宅購入時に必要な諸費用の金額や種類について解説していきますので、ぜひご一読ください。
住宅購入時にかかる諸費用の目安
住宅の購入時に必要な諸費用の金額は、戸建てや中古マンションが物件価格の4〜10%、新築マンションの購入時が3〜5%が目安といわれています。
仮に価格が4,000万円の中古マンションを購入した場合、諸費用の金額は160万〜400万円が目安。住宅を購入するときは、土地や建物の購入代金の他に、百万円や数百万円の資金を準備しなければなりません。
一般的に住宅の購入時は、物件の売買契約(または建築工事請負契約)と住宅ローンの借り入れ契約(金銭消費貸借契約)のそれぞれで発生します。
住宅の購入にかかる諸費用の内訳
住宅を購入する際にかかる諸費用は、以下の通りです。
固定資産税評価額とは、固定資産税の税額を計算する際に基準となる価格で、土地と建物それぞれに設定されています。
・印紙税
印紙税とは、住宅の売買契約書に収入印紙を添付して納める税金です。添付する収入印紙の金額は、以下のように売買契約書に記載されている契約金額によって異なります。
※出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」をもとに作成
売買契約書が令和4年3月31日までに作成されており、記載されている金額が10万円を超えている場合は軽減税率が適用されます。
仮に売買契約書に記載されている金額が4,000万円である場合、本来は20,000円の収入印紙を添付しますが、軽減税率が適用される場合は10,000円の収入印紙を添付します。
・登記費用(登録免許税・司法書士への報酬)
購入した住宅が自分のものであると主張するためには、法務局で不動産登記をしなければなりません。登録免許税は、不動産登記をする際に納める税金です。土地と建物それぞれの固定資産税評価額に、所定の税率をかけて計算します。
土地部分の登録免許税は、令和3年3月31日までに登記されていると、軽減税率が適用されます。
建物部分の登録免許税に軽減税率が適用されるのは、令和4年3月31日までに住宅を取得または新築した場合です。ただし「床面積50㎡以上」「新築または取得してから1年以内の登記」などの、一定の要件を満たさなければなりません。
また所定の条件を満たす「特定認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」を取得した場合、建物部分の登録免許税は「固定資産税評価額× 0.1%」で計算します。
不動産登記は、法律的な専門知識が必要となるため、10万円程度の報酬を支払って司法書士に代行してもらうのが一般的です。
・仲介手数料
仲介手数料とは、物件を仲介してくれた不動産会社に対して支払う手数料です。
仲介手数料の金額は、法律上で定められた上限額である物件価格×3%+6万円(税別)に設定している不動産会社も少なくありません。仮に物件の価格が、2,000万円の場合、仲介手数料の上限は税込みで72.6万円です。
一方で、仲介手数料を無料もしくは数十万円程度の定額に設定している不動産会社もあります。
・不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を購入したときに1度だけ支払う税金です。税額は、土地と建物それぞれの固定資産評価額の3%。ただし、令和3年3月31日までに取得した居住用の土地については、軽減税率が適用され税率が1.5%となります。
また、不動産取得税には、軽減措置が設けられており、不動産を取得した日から一定期間内に申告書を提出すると税額が大幅に軽減されます。
軽減措置が適用される要件や軽減額の計算方法は、やや複雑です。軽減措置の申告方法は、お住まいの自治体によって異なるため、購入時に不動産会社の担当者に確認しましょう。
住宅ローン を借り入れる際にかかる諸費用の内訳
次に、住宅ローンを借り入れる際に支払いが必要な諸費用を確認していきましょう。
住宅の購入時にかかる諸費用と一部重複しているものもありますが、計算方法や徴収される目的が異なります。
・印紙税
住宅ローン契約を結ぶ際の金銭消費貸借契約書にも、収入印紙を添付して印紙税を納めなければなりません。
金銭消費貸借契約書に添付する収入印紙の金額は、住宅ローンの借入金額によって決まります。ただし、住宅の売買契約書に添付する場合とは異なり、軽減税率を適用されません。
・登記費用(抵当権設定登記)
登録免許税は、住宅ローンを組んで抵当権設定登記をする際にもかかります。
抵当権とは、住宅ローンを借り入れた人が返済を滞納した場合に、金融機関が担保としている住宅を差し押さえられる権利です。
抵当権設定登記の登録免許額は「借入金額(債権価格)×0.1%」で税額が計算されます。仮に借入金額が3,000万円の場合、登録免許税額は3万円です。
また抵当権設定登記も、司法書士に報酬を支払って依頼するケースがほとんどです。
・事務手数料
住宅ローンを借り入れる場合、金融機関に対して事務手数料の支払いが必要です。
メガバンクや地方銀行の窓口で住宅ローンを申し込む場合、事務手数料は数万円や数十万円の定額制であるケースが多いです。
一方で、メガバンクのネット申込み型住宅ローンやネット銀行の住宅ローンは、事務手数料が借入額×2.2%に設定されています。
・保証料
保証料とは、住宅ローンを借りる際に保証会社に対して支払う費用のことです。
借り入れた人が住宅ローンを返済できなくなった場合、保証会社が金融機関に債務が弁済されます。その後、借り入れた人は、保証会社に対して借り入れを返済しなければなりません。
保証料の支払い方法は、以下の2種類です。
- 外枠方式:借入額や契約期間に応じた保証料を契約時にまとめて支払う
- 内枠方式:借入金利に0.2%程度を上乗せして支払う
保証料を外枠方式で支払った場合、繰上返済をすると残りの返済期間に応じた金額が返還されます。
保証料がかかるのは、メガバンクや地方銀行の窓口で住宅ローンを申し込んだ場合です。ネット銀行の住宅ローンは、保証会社に保証を依頼しないため保証料の支払いは不要ですが、住宅ローンの審査は厳しくなるといわれています。
・損害保険料(火災保険・地震保険)
火災保険は、建物が火災や風災、落雷などに遭った場合の損害費用を補償する保険です。建物本体だけでなく、家具や家電などの家財も補償の対象に設定できます。
住宅ローンを組む場合、火災保険への加入が必須であるケースがほとんどです。火災保険の保険料は、建物の構造や補償内容、保険会社によって大きく異なります。
火災保険は、地震によって発生した火災や津波による水災は補償の対象外。地震よる損害に備えるには、地震保険に加入しなければなりません。
地震保険の保険料は、建物の構造と建物が建っている地域によって異なりますが、保険会社による違いはありません。
住宅購入時の諸費用は住宅ローンへの組み込みや諸費用ローンで支払える
金融機関によっては、住宅ローンの借入額に諸費用も組み込めることがあります。また諸費用ローンを借り入れられる金融機関もあります。
しかし諸費用をローンで支払うと、毎月の返済負担が高くなるため、できるだけ自己資金で支払うのが望ましいでしょう。もし諸費用をローンで支払う場合は、返済負担が家計を圧迫しないか確認してうえで借り入れることが大切です。
まとめ
住宅を購入するときは、物件価格の3〜10%程度の諸費用の支払いが必要です。購入する物件の価格や種類によっては数百万円の諸費用が必要になることもあります。
また住宅を購入するときは、新居で使用する家具や家電の購入費用、居住中の住宅からの引越し費用などが必要です。
住宅を購入には、多くの資金が必要となるため、資金計画を慎重に立てることが大切です。
【コラム執筆者】
品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
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