コラム

【2026年4月最新】住宅ローンの動向を解説

1776392302-KORjT.png

 

「住宅ローン金利が上昇」というニュースを目にして、今マイホームを購入すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

 

2024年に日本銀行(以下、日銀)が「マイナス金利政策」を解除した後、変動金利と固定金利はともに上昇傾向が続いています。

 

また、2026年4月には多くの金融機関が変動金利を引き上げました。本記事では、2026年4月における最新の金利動向から、金利上昇の背景などを解説します。

 

 

2026年最新|住宅ローン金利の現状

 

住宅ローンの金利タイプは、大きく分けて3種類あり、適用金利(基準金利から優遇幅を差し引いた金利)が異なります。

 

最新動向を確認する前に、まずは各金利タイプの特徴を押さえておきましょう。

 

  • 変動金利:市場金利に合わせて定期的に金利が見直されるタイプ
  • 全期間固定金利:借入時から完済まで金利が変わらない
  • 固定金利期間選択:5年や10年など一定期間の金利が固定されるタイプ

 

2026年4月現在、住宅ローン金利は変動金利と固定金利のどちらも上昇傾向にあります。

 

特に変動金利は、4月から多くの金融機関が引き上げており、年1%前後の水準となりました。

 

ここからは、金利タイプ別に動向を解説します。

 

 

変動金利の動向

 

三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、2026年3月実行分から変動金利の基準金利(住宅ローンの定価にあたる部分)を年0.25%引き上げました。

 

この2行は、従来であれば4月と10月に基準金利を見直しますが、2025年12月に日銀が利上げしたことを受け、今回は1か月前倒しで引き上げを実施しています。

 

また、同年4月には他の金融機関も変動金利を引き上げ、最優遇金利(もっとも低い適用金利)は年1%前後となり、15年ぶりの水準となりました。

 

すでに住宅ローンを借り入れている方の多くは、2026年の7月返済分から新たな金利が適用されます。※金融機関によって反映スケジュールは異なる場合があります。

 

変動金利の水準は一時年0.3%台〜年0.4%台にまで下がっていたため、当時に比べると3〜4倍ほど上昇しました。

 

一方、1990年代のバブル期に変動金利が年8%を超えていた時代と比べると依然として低水準といえます。

 

 

固定金利の最新動向

 

固定金利についても、メガバンクをはじめ多くの金融機関が引き上げており、最優遇金利はおおむね年3〜4%台となっています。

 

2021年ごろは、10年固定金利の最優遇金利を年0.6〜年0.7%台と変動金利に迫る水準に設定していた金融機関も多くありました。

 

しかし、近年は固定金利の指標である長期金利(新発10年物国債の利回り)の上昇により、10年固定金利の最優遇金利は年3.0%前後にまで上昇しています。

 

返済期間が35年以上の全期間固定金利については、年3%台後半〜年4%前後にまで引き上げられました。

 

全期間固定金利型住宅ローンの1種である「フラット35」の最低金利は、2026年4月現在で年2.49%となり、前月から引き上げられました。※買取型、借入期間21〜35年、融資率9割以下

 

民間金融機関と提携してフラット35を提供する住宅金融支援機構は、国民の住宅取得を支援するための政府経営機関ということもあり、他の固定金利型住宅ローンに比べると低金利に設定されています。

 

 

なぜ住宅ローン金利は上がっている?その背景を解説

 

住宅ローン金利が上昇している背景は、変動金利と固定金利で異なります。

 

具体的には、変動金利は「政策金利」、固定金利は「長期金利(10年国債利回り)」という別々の指標に連動しています。

 

ここからは、変動金利と固定金利のそれぞれの上昇要因をみていきましょう。

 

 

変動金利の上昇要因:政策金利の引き上げ

 

変動金利が上がっている理由は、日銀が政策金利を引き上げているためです。

 

政策金利とは、日銀が景気や物価をコントロールするために設定する金利のことです。この金利が上がると、住宅ローンの変動金利も引き上げられる傾向にあります。

 

2024年3月に日銀は、物価や賃金が安定して上昇する見通しが立ち、景気が良い方向に向かっていると判断したことから「マイナス金利政策」を解除し、政策金利を引き上げました。

 

解除後も日銀は利上げを進め、2025年12月には政策金利を約30年ぶりの水準となる年0.75%まで引き上げています。この段階的な利上げによる影響で、変動金利も上昇基調が続いている状況です。

 

日銀は今後も、賃金や物価、金融環境などの動向を見ながら必要に応じて利上げをしていく姿勢を示しています。金融の専門家によっては、2026年末までに政策金利は年1.0%〜年1.25%程度に引き上げられると予測しています。

 

一方、政策金利は日本の景気や世界情勢などをもとに設定されるため、金融の専門家でも正確に予測することは容易ではありません。

 

変動金利を選ぶ場合は、金利が上がったときに返済額がどう変わるかを事前にシミュレーションし、途中で返済額が増えても、家計が苦しくならないかよく確認することが大切です。

 

 

固定金利の上昇要因:10年国債利回りの上昇

 

固定金利が引き上げられている理由は、その基準となる10年国債利回り(長期金利)が上昇しているためです。

 

この10年国債利回りは、日銀が直接操作できるものではなく、投資家の売買によって市場で決まります。

 

2026年3月時点で長期金利は年2.3%台と、約27年ぶりの高い水準に達しています。上昇の主な背景にあるのは「日本の財政に対する不安」です。

 

2025年に高市首相率いる新政権が発足したあと、消費税の減税や大規模な財政支出の議論が広がりました。

 

そのため「財源を確保するために国債の発行が増えて国の借金がさらに増加するのではないか」という懸念が投資家の間で広まり、国債が売られて金利が上がりました。

 

また、中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰も10年国債利回りに上昇圧力をかけています。

 

エネルギーコストが上がると物価も上がりやすくなることで、政府はさらに利上げをして引き締めをするだろうという予測が市場に広まったためです。

 

10年国債利回りは、投資家の予測と市場の動きに左右されるため、今後どのように推移するのかは不透明です。

 

固定金利型の住宅ローンを検討する際も、不動産会社の担当者やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら資金計画を立てることをおすすめします。

 

 

注目の新制度「残価設定型住宅ローン」とは

 

金利の上昇に加えて近年は原材料価格や人件費の高騰を背景に住宅価格も上がってきている状況です。

 

このような状況下では「マイホームを購入すると毎月の返済負担が重くなってしまうのではないか」などと懸念を持つ人も多くいます。

 

そこで、毎月の返済負担を抑える新たな選択肢として「残価設定型住宅ローン」が注目を集めています。

 

残価設定型住宅ローンは、借入金額から将来の住宅価値(残価)をあらかじめ差し引き、その残額のみを毎月返済する商品です。

 

借入期間は20年程度であり、返済の最終回を迎えたときは「売却する」「住み替える」「一括返済する」「再ローンを組む」から選択できるとされています。

 

自動車を購入する際の「残価設定型クレジット」と同様の仕組みがある住宅ローンといえます。残価設定型住宅ローンのメリットとデメリットは以下のとおりです。

 

1775014323-ShinN.png

 

残価設定型住宅ローンは、長期にわたり住宅の価値が維持されることを前提に設計されたローンです。

 

そのため、長期優良住宅(国が定めた基準を満たす耐久性や省エネ性に優れた住宅)など適切な維持管理が見込める物件に対象が限定される傾向にあります。

 

一方、国土交通省は残価設定型住宅ローンの普及を後押しするため、住宅金融支援機構を通じた住宅融資保険制度を新たに創設しました。

 

2026年4月時点で、残価設定型住宅ローンを取り扱う金融機関は限られています。

 

将来的に住宅を売却した際、売却額が残価を下回り損失が生じるリスクを保険でカバーできる仕組みが整えられたことで、今後このローンを取り扱う金融機関が増える可能性があります。

 

 

まとめ

  • 2026年4月に変動金利は15年ぶりに年1%前後の水準に達しており、固定金利も年3〜4%程度と以前に比べて上昇している
  • 変動金利は日銀による政策金利の引き上げ、固定金利は財政不安や原油高などを背景とした10年国債利回りの上昇を背景にそれぞれ引き上げられている
  • 今後は毎月の返済負担を抑えることが可能であり、国も後押しする「残価設定型住宅ローン」が普及する可能性がある

 

【コラム執筆者】

1613137682-8O7Tj.jpg

品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/