マンションを買ってすぐに売ると損?相場より高く売るポイントも解説

転勤や家庭の事情、金銭的な問題などにより、買ったばかりのマンションの売却する場合「損をしてしまうのではないだろうか」と不安になるものです。
たしかに、買ってすぐにマンションを売却すると損をするケースはあります。
一方で、対処方法を把握していれば高値で売却することも可能です。
本記事では、マンションを買ってすぐに売ると損になりやすい理由や、少しでも高く売るためのポイントを解説します。
マンションを買ってすぐ売ると損しやすい4つの理由
買ったばかりのマンションを売ると、損をしやすい主な理由は以下の通りです。
- 「新築プレミアム」の消失で価格が下がりやすい
- 購入時と売却時の「諸費用」で手残りが減る
- 5年以下の売却は「短期譲渡所得」で税金が高い
「新築プレミアム」の消失で価格が下がりやすい
マンションは鍵を受け取って1日でも住むと「中古物件」扱いになり、一般的に新築時の価格から1〜3割ほど価格が下がると言われています。
新築マンションの販売価格には、物件そのものの価値だけでなく、不動産会社の利益や広告宣伝費などが上乗せされているためです。
この上乗せ分は「新築プレミアム」と呼ばれており、マンションが中古物件になると失われます。
新築マンションを買ったあとすぐに売却しても、新築プレミアムの分だけ売却価格が下がるため、損失が生じやすくなるのです。
購入時と売却時の「諸費用」で手残りが減る
購入時と同等の価格でマンションを売れたとしても損失は発生します。
不動産を売るときや買うときは、物件価格の他にも仲介手数料や印紙税、登記費用などの諸費用がかかるためです。
マンションの売却にかかる諸費用は、売却価格の約4〜6%が目安です。
例えば、マンションが4,000万円で売れた場合、160万〜240万円の諸費用がかかります。
加えて、マンションを買ったときにも登記費用や融資事務手数料などの諸費用を支払っているはずです。
マンションを買ったあとすぐに売却しても、購入時の諸費用がすべて戻ってくることはありません。
購入時と売却時の両方で諸費用を負担することになるため、トータルの収支はマイナスになりやすくなります。
所有期間5年以下での売却は税金が高くなる
マンションを売って利益が出た場合、その利益(譲渡所得)は「譲渡所得税」の課税対象となります。譲渡所得税は、譲渡所得に課される所得税や住民税、復興特別所得税(2037年まで)の総称です。
譲渡所得税の税率は売却した年の1月1日時点の所有期間で異なります。
- 所有期間5年以下:39.63%(所得税・復興特別所得税30.63%、住民税9%)
- 所有期間5年超:20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)
マンションを買ってすぐに売ると、売却益は「短期譲渡所得」となり39.63%の税率で譲渡所得税が計算されるため、税負担が重くなります。
また、実際の所有期間ではなく「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判断される点にも注意が必要です。
例えば、マンションを売却する契約を結んだときの所有期間が5年2ヶ月であっても、その年の1月1日時点で4年10ヶ月であれば、売却益は短期譲渡所得となります。
たとえ、マンションが購入時よりも高く売れたとしても譲渡所得税の税負担が重くなることで手元に残る金額が大きく減りやすくなります。
オーバーローンが発生しやすくなる
住宅ローンを「元利均等方式(毎月の返済額を一定にする方法)」で返済する場合、返済開始の当初は毎月の返済額に占める利息の割合が多いため、元金はあまり減っていきません。
そのため、住宅ローンを組んで購入したマンションをすぐに売却しようとすると、まだ元金が多く残っており、オーバーローンが生じやすくなります。
オーバーローンの状態では、金融機関が設定した「抵当権」を外せません。
抵当権とは、万が一ローンの返済が滞った場合に、金融機関がそのマンションを差し押さえて競売にかけ、得られた売却代金で優先的に融資金を回収できる権利のことです。
抵当権が設定されたままであるとマンションの売買契約が成立しないため、売却するためにはローンを完済して抵当権抹消登記をする必要があります。
オーバーローンの状態でマンションを売るためには、基本的に足りない金額を自己資金で補うことになるため、保有する資産が大きく減少しやすくなります。
買ってすぐのマンションを高く売る5つのポイント
買ってすぐのマンションを売ったときに損をしないためには、以下の点を押さえて売却活動を行うことが重要です。
- 複数社の査定を比較して不動産会社を選ぶ
- 物件の強みを正しくアピールする
- 需要が高まる「2月〜3月」のタイミングを狙う
- 内覧時は清掃や整理整頓を徹底する
- 売り出し価格を適切に設定する
複数社の査定を比較して不動産会社を選ぶ
マンションを売却する際は、まず不動産会社に物件を査定してもらうのが一般的です。
できるだけ高く売るためには、少なくとも3社以上の不動産会社にマンションの査定を依頼して結果を比較しましょう。
不動産会社によって得意とする物件の種類やエリア、顧客層などが異なっており、査定するマンションが同じであっても査定額に数百万円の差が出ることがあるためです。
ただし、売却を依頼してもらうために根拠なく高い査定額を提示する不動産会社も存在するため、算出根拠も詳しく聞きましょう。
算出根拠が明確であり、かつ分かりやすく論理的に説明してくれる担当者に依頼すると、買主に対しても説得力のある交渉ができるため、安心して売却を依頼できるでしょう。
物件の強みを正しくアピールする
マンションを相場より高く売るためには、物件が持つ「強み」を正しく理解して積極的にアピールすることが大切です。
一般的に、以下のようなアピールポイントがあるマンションは高値で売れやすいといわれています。
- 「角部屋」や「高層階」などの条件が良い物件
- 大手デベロッパーが手掛けた「ブランドマンション」
- 駅近や複数の駅が徒歩圏内にある「好立地の物件」
- 管理状態が良好である
上記に該当する物件は資産価値が上がりやすいため、買って間もない場合でも高値で売却できる可能性があります。
また、ゲストルームやスタディルームといった「共用施設の充実」も、購入検討者にとって魅力的な要素になりえます。
マンションを売却するときは、立地や設備などの特徴を整理し強みをよく理解したうえで、インターネットの不動産ポータルサイトや広告などでアピールしましょう。
需要が高まる「2月〜3月」のタイミングを狙う
マンションがもっとも売れやすい時期は、1月から3月です。
4月からの入学や転勤などの新生活に合わせて、多くの人が住まいを探し始めるためです。
買って間もないマンションを売る場合でも、買い手が付きやすい時期に売却活動ができるよう準備することをおすすめします。
物件の査定や室内の写真撮影、広告の作成などに時間がかかるため、遅くとも11月から12月頃には不動産会社に相談し、年明けの1月には物件情報が公開されるように準備を進めましょう。
内覧時は清掃や整理整頓を徹底する
購入希望者が内覧に訪れるときは、室内の整理・整頓を徹底して生活感をできるだけ消し、モデルルームのような状態にして迎えることが大切です。
室内の汚れや破損箇所がそのままになっていると、内覧を訪れた人の目に魅力的に映らなくなり、せっかくの機会を逃してしまうかもしれません。
特にキッチンやお風呂、トイレなどの水回りは、水垢やカビが残らないよう念入りに掃除をしましょう。
内覧日の当日は昼間でもすべての照明をつけ、部屋を明るく見せるのが良いでしょう。
また、事前に換気をして生活臭を消しておくことも必須です。
ハウスクリーニングを頼むのも1つの方法です。
間取りや清掃箇所などに応じて数万〜十数万円ほどの費用がかかりますが、支払った金額以上に売却価格が上がる可能性があります。
売り出し価格を適切に設定する
マンションの売り出し価格は、購入希望者からの値下げ交渉を想定して設定します。
一般的には、相場の1割増し程度の価格で売り出しを始めるケースが多いです。
あらかじめ値引き分を見込んで売り出し価格を設定すると、値下げ交渉に応じたとしても手元に残したい金額を確保しやすくなります。
また、人気のあるエリアにある物件や好立地の物件などは、1割を超える価格を上乗せして相場よりも高く売却できる可能性もあります。
不動産会社とも相談し、マンションの査定結果や不動産市況なども踏まえて売り出し価格を適切に設定しましょう。
まとめ
- 買った直後に売却すると損をしやすいのは新築プレミアムの消失や諸費用の発生、譲渡所得税の税率の高さが主な理由
- 住宅ローンの残債が多いと、売却額だけではローンを返しきれない「オーバーローン」の状態になり、自己資金が必要になることもある
- 損をしないためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要。また、物件の強みをアピールしたり、売却時期を見極めたりするなどの方法で対策するのも効果的
【コラム執筆者】

品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
https://daisakukobayashi.com/