コラム

住宅ローンの収入合算とは?メリットやペアローンとの違いを解説

1762309207-8FRYu.png

 

夫婦で住宅ローンを組む方法としてはペアローンが広く知られていますが、その他にも「収入合算(連帯債務・連帯保証)」を利用する方法があります。

 

マイホームを購入するときは、住宅ローンの収入合算の特徴についてもよく理解し、自身に合った借入方法を検討することが大切です。

 

本記事では、収入合算の基本的な仕組みから、ペアローンとの違い、メリット・デメリットまで詳しく解説します。

 

 

住宅ローンの収入合算とは

 

住宅ローンの収入合算とは、配偶者や親、子どもなどの収入を足し合わせて住宅ローンの審査を受ける方法です。

 

世帯の収入を合算してローンの審査を受けることで、1人で申し込む場合よりも借入可能額を増やせます。

 

収入合算には、主に「連帯債務」と「連帯保証」の2つの契約形態があります。

 

それぞれの仕組みや特徴が異なるため、違いを理解して選択することが重要です。

 

 

連帯債務

 

連帯債務とは、1つの住宅ローン契約に対して、主たる債務者と収入合算者(連帯債務者)の2名が、それぞれ全額の返済義務を負う契約形態です。

 

例えば、夫が主債務者、妻が連帯債務者として6,000万円の住宅ローンを借り入れた場合、夫婦ともに借入金額6,000万円すべての返済義務を負います。

 

連帯債務で購入した物件は、夫婦それぞれが負担した割合に応じた持ち分(所有権)で共有名義とするのが一般的です。

 

 

連帯保証

 

連帯保証とは、契約者である主債務者1人が住宅ローンを返済し、もう1人はその連帯保証人となる契約形態です。

 

返済義務を負うのは基本的に主債務者です。連帯保証人は、主債務者の返済が滞るなどの場合に、ローンの全額を返済する義務を負います。

 

一方、多くのケースでは連帯保証人は基本的に物件の所有権を持たず、購入した物件は主債務者の単独名義となります。

 

 

収入合算(連帯債務・連帯保証)とペアローンの違い

 

収入合算(連帯債務・連帯保証)とペアローンは、夫婦などで収入を合わせて借入額を増やす点は共通していますが、いくつか異なる点があります。

 

ペアローンは、1つの物件に対して夫婦それぞれが住宅ローンを契約する方法です。

 

夫婦で収入合算やペアローンを利用する場合、借入方法ごとの主な違いは以下の通りとなります。


1756622005-tKsB1.png

※1.連帯債務者が加入できる場合もある

 

収入合算は契約が1本であるのに対し、ペアローンは契約が2本になる点が主な違いです。

 

また、住宅ローン控除が適用される人の範囲や団体信用生命保険に加入できる人、諸費用の金額なども異なります。

 

 

収入合算(連帯債務・連帯保証)の主なメリット

 

収入合算の主なメリットは以下の通りです。

 

  • 借入額を増やせる
  • 連帯債務は双方が住宅ローン控除を受けられる
  • 諸費用を抑えられる

 

 

借入額を増やせる

 

収入合算では、主債務者の60%や80%といった範囲で収入合算者の年収を合算してローンの審査を受けられます。

 

そのため、夫婦や親子のどちらかが単独でローンを申し込む場合に比べて借入金額を増やすことが可能です。

 

借入金額を増やすことができれば、予算の都合で諦めていた立地や間取りなどの条件がより希望に合致する物件にも手が届くようになるでしょう。

 

 

諸費用を抑えられる

 

住宅ローンの契約時には、契約書に貼る収入印紙代(印紙税)や、金融機関に支払う事務手数料、登記費用などが発生します。

 

ペアローンの場合、住宅ローン契約を2本結ぶため、諸費用も基本的に2本分かかりますが、収入合算であれば1本分の負担で済みます。

 

借入金額を増やしながらも、ペアローンと比較して住宅ローン契約時にかかる諸費用を抑えることが可能です。

 

 

連帯債務は双方が住宅ローン控除を受けられる

 

連帯債務型で収入合算を利用する場合、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるというメリットがあります。

 

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末時点での住宅ローン残高の0.7%を、最大13年間、所得税や住民税から差し引くことができる制度です。
※取得したマイホームに2022年1月〜2025年12月末までに入居した場合

 

連帯債務では夫婦の双方が債務者となるため、2人とも住宅ローン控除を適用できます。

 

そのため、1人のみが控除を受ける場合に比べて、世帯全体で見たときの所得税や住民税の節税効果が高まる可能性があります。

 

なお、連帯保証型の場合、住宅ローン控除を受けられるのは主債務者のみであり、連帯保証人は対象外です。

 

収入合算(連帯債務・連帯保証)の主なデメリット

 

一方で収入合算には、以下のようなデメリットがあります。

 

  • 団体信用生命保険に加入できるのは主債務者のみ
  • 離婚後も返済義務が残る
  • 収入が減少すると返済負担が重くなる可能性がある

 

 

団体信用生命保険に加入できるのは主債務者のみ

 

収入合算を利用する場合、団体信用生命保険(以下、団信)に加入できるのは基本的に主債務者のみです。

 

団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が亡くなったり、所定の高度障害状態になったりした場合に、保険金でローンが完済される保険のことです。

 

連帯債務者や連帯保証人は、基本的には団信による保障は受けられません。

 

収入合算者に万が一のことがあったとしても、ローンの残債は減らず、主債務者は引き続き同じ金額を返済していく必要があります。

 

 

離婚後も返済義務が残る

 

離婚によって夫婦関係を解消しても、収入合算を利用して借り入れた住宅ローンの返済義務はなくなりません。

 

ローンを完済するか、どちらかが単独で契約者となるローンへ借り換えない限り、連帯債務者や連帯保証人としての立場は続きます。

 

離婚後も連帯債務者や連帯保証人のままになっていると、もし元配偶者の返済が滞ったときに金融機関から返済を求められてしまいかねません。

 

また、物件が共有名義である場合、売却するためには共有者全員の同意が必要です。離婚の際に夫婦間の意見が対立し、売却手続きが難航する可能性もあります。

 

 

収入が減少すると返済負担が重くなる可能性がある

 

収入合算は2人分の収入をもとに借入金額を決めるため、返済の途中でどちらかの収入が減少すると返済が苦しくなる可能性があります。

 

例えば、出産や育児による休業、病気やけがによる休職、転職や退職などにより収入が減ってしまうようなケースです。

 

返済が始まったあとも共働きで収入が減らないことを前提として余裕のない返済計画を立ててしまうと、ライフプランの変化に対応できず、生活が苦しくなるかもしれません。

 

収入合算で住宅ローンを組む場合は、マイホームを購入したあとのライフイベントを考え、収入が変動することも考慮して無理のない返済計画を立てることが重要です。

 

 

まとめ

 

  • 住宅ローンの収入合算は、夫婦や親子などの収入を合わせて借入可能額を増やせる方法で「連帯債務」と「連帯保証」の2種類がある
  • 収入合算はペアローンよりも借入時の諸費用を抑えられる他、連帯債務であれば双方が住宅ローン控除を受けることも可能
  • 収入合算を利用すべきかどうかは、団信には主債務者しか加入できない点や、離婚後も返済義務が残る点などのリスクを理解した上で慎重に検討する必要がある

 

【コラム執筆者】

1613137682-8O7Tj.jpg

品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/