コラム

中古マンションを買うなといわれる理由とは?メリットとあわせて解説

1720496269-E1H1c.png

 

中古マンションは新築マンションよりも安く手に入れられる一方で「買わない方が良い」といわれることもあります。

 

中古マンションにはメリットもあれば注意点もあるため、検討の際はそれらをよく理解することが大切です。

 

今回は、中古マンションを買うなといわれる理由や、主なメリットを解説します。

 

 

中古マンションを買うなといわれる主な理由

 

中古マンションは買わない方が良いといわれる主な理由は、以下の通りです。

 

  • 取得費用が新築とさほど変わらないことがある
  • 修繕積立金が高いことがある
  • 耐震性能に不安がある
  • 見えない部分の劣化を確認しにくい

 

1つずつみていきましょう。

 

 

取得費用が新築とさほど変わらないことがある

 

一般的に中古マンションは、新築マンションよりも価格が割安です。

 

しかし、室内のリフォーム・リノベーションをする場合、マンションの購入費用の他にも工事費用も支払わなければなりません。

 

施工費用は工事内容によって大きく異なりますが、間取りの変更や水回り設備の更新などをともなう場合、数百万〜1,000万円ほどかかるケースもあります。

 

コストを抑えるために中古マンションを選んだものの、リフォームやリノベーションをしたことで、合計の取得費用が新築マンションとさほど変わらなかったという方もいます。

 

 

修繕積立金が高いことがある

 

マンションの居住者は、管理費とあわせて修繕積立金を毎月支払います。

 

修繕積立金は、将来的な大規模修繕を実施するための資金を積み立てるために徴収されるお金です。

 

マンションの築年数が経過するにしたがって、修繕積立金は段階的に値上げされるのが一般的です。

 

そのため中古マンションは、新築マンションよりも修繕積立金が高く、毎月の負担が重いために、不満を抱える人もいるようです。

 

 

耐震性能に不安がある

 

1981年5月31日以前に建築確認されたマンションには、旧耐震基準が適用されています。

 

旧耐震基準のマンションは、震度5強程度の揺れが発生しても建物が倒壊せず、たとえ破損したとしても補修することで生活ができる構造を持っています。

 

一方、現行の新耐震基準で想定されているのは、震度6強〜7程度の非常に強い揺れです。

 

日本は世界有数の地震大国であるため、新耐震基準のマンションと比較して耐震性能に不安がある旧耐震基準の中古マンションは避けられることがあります。

 

 

見えない部分の劣化を確認しにくい

 

中古マンションは、壁や床の内部、配管などの見えない部分の劣化状態を把握しにくいのが難点です。

 

例えば、マンションの配管が劣化していると、水漏れが発生したり水にサビが混じったりするなど、さまざまな問題が起こる可能性があります。

 

その点、新築マンションであれば、建物や設備は最新の状態であるため、劣化の心配はありません。

 

中古マンションは、見えない部分に問題があった場合にそれを改善できるのかどうか、またその費用がいくらになるのかを予測しにくいため、購入を避ける人が一定数います。

 

 

中古マンションの主なメリット

 

中古マンションを避ける方がいる一方で、好んで購入される方も少なくありません。

 

中古マンションには、以下のようなメリットがあるためです。

 

  • 新築よりも安価で手に入れられる
  • 物件の選択肢が多い
  • 実際の室内や外観などを見て検討できる
  • 契約から短期間で入居することも可能

 

ご自身にとって中古マンションが適しているかどうかを判断するためにも、主なメリットを1つずつ確認していきましょう。

 

 

新築より安価で手に入れられる

 

中古マンションは、新築マンションと比べて、同じ立地・広さの物件を安価で購入できる可能性があります。

 

株式会社東京カンテイの調査によると、首都圏における新築マンションと中古マンションの平均価格には、以下のような差があります。

 

 

1719730178-gyxx3.png

※出典:東京カンテイ「マンションデータ白書2023

 

調査結果をみると、2023年の首都圏におけるマンション価格は、新築が8,094万円であるのに対し中古は4,270万円と約半分です。

 

新築と中古の価格差は、購入後のローン返済額にも大きく影響します。

 

中古マンションを選ぶことで、月々の返済負担が抑えられ、家計に余裕が生まれやすくなるでしょう。

 

一方で、先述の通りリフォーム・リノベーションの費用が高額になる場合や、修繕積立金が値上がりしている場合、金銭的なメリットをさほど得られないこともあります。

 

リフォームやリノベーションを前提に中古マンションを購入するのであれば、不動産会社や施工業者に相談し、工事費用を見積もったうえで資金計画を立てることが重要です。

 

また、住宅ローンの返済額だけでなく、修繕積立金や管理費、および今後の値上げ予定もよく確認し、毎月いくらの支払いが必要になるのかを把握しましょう。

 

 

物件の選択肢が多い

 

駅や商業施設などの近くには、すでに多くのマンションが建てられているため、新築に絞ると選択肢が限られてしまいます。

 

特に、人気のエリアでは希望の間取りや価格帯の物件を見つけることが難しくなってしまうでしょう。

 

その一方で、中古マンションは多数の物件が市場に出ています。

 

中古マンションを選択肢に含めることで、エリアや間取り、価格帯などが希望に合った物件を見つけやすくなるでしょう。

 

自分自身や家族のライフスタイルに合った理想の住まいを探しやすいのも、中古マンションの魅力といえます。

 

 

実際の室内や外観などを見て検討できる

 

新築マンションの場合、建物がまだ完成しておらず、モデルルームや完成予想図を見て購入すべきか判断するケースが少なくありません。

 

しかし、モデルルームや完成予想図と、実際の室内や建物は印象が異なることがあります。

 

その点、中古マンションであれば、内覧をして実際の部屋の雰囲気や眺望、日当たりなどを確認できます。

 

居住者がいる状態で売りに出されている場合は、家具や家電などが置かれた状態を見ることもできるため、実際の生活をイメージしやすいでしょう。

 

また、マンションを内覧する際に、周辺環境や交通の利便性なども確認できます。

 

室内や物件の状態、住環境などを直接見て確かめたうえで購入すべきか判断できるのは、中古マンションの主要なメリットといえます。

 

 

契約から短期間で入居することも可能

 

中古マンションは、すでに建物が完成しているため、売買契約を結んでから短期間で入居が可能です。

 

新築マンションの場合、建物が完成するまで1年以上待たなければならず、契約から入居までに時間がかかるケースもあります。

 

中古マンションなら、売主の都合さえ合えば、売買契約を結んでから1か月以内に入居することも可能です。

 

急な転勤や家庭の事情などで、短期間のうちに住み替えをしなければならなくなったときは、中古マンションを選択肢に含めるのも1つの方法です。

 

 

まとめ

 

  • 中古マンションは価格が割安ではあるが、リフォームやリノベーションの費用を含めると取得にかかるコストが新築マンションとさほど変わらないことがある
  • 中古マンションは築年数が経過するほど修繕積立金が高くなる傾向にあるだけでなく、旧耐震基準で建てられており耐震性能に不安がある場合もある
  • 中古マンションは新築より安価である点や物件の選択肢が多い点、実際の室内や外観を見て検討できる点など、さまざまなメリットがある



1613137682-8O7Tj.jpg

品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/