持ち家の売却時にリフォームすべき?メリット・デメリットやその他の対策方法
持ち家を売却する際、事前にリフォームを行うべきかどうかは悩ましい問題といえます。
実は、中古住宅の売却においては、事前にリフォームをしないケースが多いのです。
というのも、費用や時間をかけた分だけの効果が得られるとは限らないためです。
今回は、持ち家を売却する前にリフォームをするメリットとデメリットに加え、その他の対処方法を解説します。
事前にリフォームをしてから持ち家を売却するメリット
売却前にリフォームをする主なメリットは、以下の通りです。
- 物件の価値が上がる可能性がある
- 買主の層を広げられる
1. 物件の魅力が上がる
リフォーム工事をすると、建物や設備の老朽化が改善されて新築に近い状態に戻るため、物件の魅力を向上させることが可能です。
特に、キッチンやバスルーム、フローリングなどをリフォームによって刷新することで、購入希望者の印象を良くする効果が期待できます。
リフォームによって物件の魅力が高まれば、希望する価格で売却しやすくなる可能性があります。
2. 買主層が広がる
リフォームをすると、さまざまな買主層にアピールできる可能性があります。
例えば、築年数が古い物件でも、リフォームによって現代的な間取りに作り変えて最新の設備を導入することで、若い世代にも魅力的に映る可能性があります。
また、リフォーム済みの物件は、買い手側が別途で工事をする必要も基本的にはありません。
そのため、できるだけ購入価格を抑えつつも、新築と同等の魅力がある物件にできるだけ早く入居したいと考えている人にも訴求しやすくなるでしょう。
事前にリフォームをしてから持ち家を売却をするデメリット
事前にリフォームをしてから持ち家を売却することにはメリットがある反面、多くのデメリットがあります。
代表的なデメリットは、以下の通りです。
- コストがかかる
- 時間がかかる
- 買主の好みに合わない可能性がある
1. コストがかかる
リフォーム工事には、多額の費用がかかります。
特に、キッチンやバスなどの水回りを工事すると数百万円、内装の解体をともなう場合は1,000万円以上の工事費用が必要になることもあります。
家が売れておらず、売却代金を手にしていない状態で、多額のリフォーム費用を準備することに苦労をするかもしれません。
また、支払った金額の分だけ高値で売却できるようになるとも限らないため、売却後の手残りが少なくなる恐れがあります。
2. 工事が終わるまでに時間がかかる
リフォームをする場合、工事の規模にもよりますが、数週間〜数か月ほどの期間がかかります。
リフォーム工事をしているあいだは、物件を売却できないため、売却時期が遅れてしまうかもしれません。
また、作業が遅れたり追加で工事が必要な箇所が見つかったりすることで、リフォーム工事がスケジュール通りに終わらないケースも多々あります。
リフォームに時間をかけすぎてしまったばかりに、住宅の売り時を逃してしまっては本末転倒でしょう。
加えて、リフォーム工事の規模が大きい場合は、仮住まいでの生活が必要となり、引っ越し代や家賃などが余分にかかる可能性があります。
3. 購入希望者のニーズに合わなくなる可能性がある
リフォーム工事を行う際、売主の好みや趣味に合わせたデザインや設備を選んでしまうと、購入希望者の好みに合わないかもしれません。
たとえキッチンやバスルーム、壁紙、床材などが新築に近い状態になったとしても、購入希望者の好みに合わないのであれば、購入は見送られてしまうでしょう。
また、先にリフォームをしてしまうと「中古物件を安価で購入して自分自身の好みにリフォームをしたい」と考えている人に、選ばれなくなります。
リフォームをすることで購入希望者のニーズに合わなくなり、かえって売れにくくなるケースも珍しくないのです。
売却前のリフォームは基本的に不要!他の方法も検討を
多額の費用をかけてリフォームをしたとしても、家が売れやすくなるとは限りません。
むしろ、費用をかけた分だけ売却価格が高くなるケースも多く、購入希望者のニーズに合わなくなる可能性もあるため、売却前のリフォームは基本的に不要といえます。
そこで、持ち家を売れやすくしたいときは、リフォームだけでなく以下の方法も検討することをおすすめします。
- 最低限の修繕をする
- ハウスクリーニングをする
- インスペクションを実施する
最低限の修繕をする
築年数が経った住宅は、大規模なリフォームをせずとも、必要最低限の修繕をすることで売れやすくなる可能性があります。
外壁や畳、障子、壁紙、ドアなど、購入希望者の目に付きやすい箇所を中心に修繕・補修するだけでも、住宅の印象は良くなるものです。
修繕・補修をする箇所を絞り込むことで、コストを抑えて持ち家を売れやすくできる可能性があります。
ハウスクリーニングをする
中古住宅の売却では、内覧時の印象が大きく影響します。
そのため、事前にハウスクリーニングを依頼し、専門業者に室内を掃除してもらうのも1つの方法です。
ハウスクリーニングであれば、キッチンやお風呂、トイレなど素人では掃除が難しい箇所も、専門の技術と知識、そして専用の道具を用いて綺麗に掃除してもらえます。
また、煙草やペットなどの臭いを取り除いてもらうことも可能です。
ハウスクリーニングの費用は、居住面積や清掃の内容などで異なりますが、一般的な住宅であれば10万以内で依頼できます。
リフォームよりもはるかに安価で、購入希望者の印象を良くする効果が期待できるのは、ハウスクリーニングの大きな魅力といえます。
インスペクションを実施する
建物の品質や耐久性に不安を抱えて、中古住宅の購入をためらう人は少なくありません。
そこで、不安要素を解消するために検討したいのが「インスペクション(建物状況調査)」です。
インスペクションでは、住宅の専門家が建物の各部位を詳細にチェックし、その結果を報告書にまとめます。
調査の結果、雨漏りの痕跡やシロアリの被害などが見つかった場合は、適切な対策を講じることが可能です。
また、インスペクションの結果を購入希望者に開示することで、第三者の目線でチェックされた建物の状態を把握できるため、安心感を与える効果も期待できます。
持ち家を売却するときは持ち家会社に相談をしよう
持ち家を売れやすくするために効果的な対策は、物件の状態や立地、築年数など、さまざまな要因で異なります。
そのため、持ち家を売却する際は、売却実績が豊富で信頼できる持ち家会社に相談することが大切です。
持ち家の売却が得意な持ち家会社であれば、物件の状態やエリアでの買主のニーズなどをもとに、適切な対策方法を提案してくれるでしょう。
また、売り出し価格や広告でアピールするポイント、内覧の対応方法など、持ち家の売却に関するさまざまなことをサポートしてもらえます。
持ち家を売りたいと思ったときは、まず複数の持ち家会社に査定を依頼して、担当者の説明の分かりやすさや対応の丁寧さなどを比較し、信頼できる1社を選びましょう。
まとめ
- 売却前にリフォームをすると、物件の魅力を高められる可能性がある
- 一方で、リフォームにはコストや時間がかかり、特定の購入希望者から選ばれなくなるリスクもある
- 持ち家を売るときは、最低限の修繕やインスペクション、ハウスクリーニングなどの対策方法も検討することが大切
【コラム執筆者】
品木 彰(シナキ アキラ)
プロフィール
保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。
https://daisakukobayashi.com/