コラム

相続発生後、実家の固定資産税は誰が支払う?

1680682508-Z97YG.jpg

相続発生後に未払いの固定資産税の納税通知書が発見されたり、相続発生後、遺産分割協議成立前に、新たに納税通知書が届き「誰が実家の固定資産税を支払うの?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、税金の滞納を避けるために相続人の一人が立替えたが、他の相続人が負担してくれないなどのトラブルに発展するケースもあります。今回のコラムでは、相続発生後の固定資産税は誰が負担するのかについて解説したいと思います。

 


固定資産税とは

 

固定資産税とは、土地や建物などの固定資産の所有者に毎年課される税金のことをいい、1月1日時点の所有者に納税義務が課されます。

 

具体的には、1月1日時点に固定資産の所有者として固定資産課税台帳に登録されている者が納税義務者となります。登記簿上の所有名義人とは必ずしも一致せず、仮に未登記であっても固定資産税は発生します。

 

固定資産税の納税通知書は、4~6月頃に発送されますが、納税義務者が誰であるかは、あくまで1月1日時点の所有者を基準に判断されます。

 

固定資産税を誰が負担するのか


未払いの固定資産税の負担


例えば、実家の名義人である父が1月2日に亡くなり、相続が発生した場合、納税義務者は1月1日を基準に判断されるので、税金の支払義務は父に発生しますが、納付書が届く際には、その父は存在しないため、誰が税金を支払うのか問題になります。

 

結論から言いますと、法的には、未払いの固定資産税は、相続人が支払義務を負うことになり、その負担割合は原則として法定相続分によって決められます。

 

相続というものは、プラスの財産だけではなく、負債や義務などのマイナスの財産も受け継ぐことになるので、被相続人が負っていた支払義務は相続人が負うことになるからです。

 

遺産分割協議では、誰が財産を取得し、誰が義務などを負担するのかを決めることができますので、特定の相続人に支払義務を負わせることも可能です。

 

未払いの固定資産税については、実際には、相続人の代表者が一括して立替え、後に相続分に応じて負担を請求したり、相続財産から支払うというケースがほとんどです。

 

相続人が支払った被相続人の未払い固定資産税は、相続税の計算上、債務控除の対象となりますので、収受印が押された領収書などは保存しておくことをおすすめします。

 

 

分納の固定資産税


固定資産税は、一括で支払うこともできますが、年4回に分けて分納するのが一般的です。

 

その場合、例えば、被相続人が、第1期と第2期の税金を納めた後に亡くなったとしたら、第3期と第4期の税金が未払いとして残ります。

 

この未払いの固定資産税も、相続人が法定相続分に従って支払義務を負うことになります。

 

遺産分割協議成立前の固定資産税


遺産分割協議成立前の固定資産税の支払義務は、上記の未払いの場合と同様に、相続人が法定相続分に従って支払義務を負うことになります。

 

例えば、実家の名義人である父が12月31日に亡くなり、相続が発生した場合、納税義務者は1月1日を基準に判断されるので、納税義務者は、その時点の所有者である相続人ということになります。

 

遺産分割協議が成立していない場合には、不動産は相続人の共有財産扱いとなっているため、共有者がそれぞれの持分の割合に応じて、税金の支払義務を負うということになります。

 

ただし、不動産の所有者が既に亡くなってたとしても、不動産の名義変更や市町村への届出をしていなければ、固定資産税の納付書等は、相続人ではなく、故人の従前の住所宛に故人名義で送付されることになりますので注意が必要です。

 

相続発生後の実家の固定資産税についてまとめ


未払いの固定資産税があった場合には、相続人がその支払い義務を負うことになり、その負担割合は原則として法定相続分によって決められます。

 

遺産分割協議成立前の固定資産税の支払義務は、協議成立前は、不動産は相続人の共有財産扱いとなっているため、共有者がそれぞれの持分の割合に応じて、税金の支払義務を負うことになります。

 

遺産分割協議が成立した場合には、その協議によって不動産の所有者となった者が納税義務者となります。

 

 

【コラム執筆者】

1613137320-Clzpd.jpg

髙橋 朋宏

プロフィール

経堂司法書士事務所代表司法書士。一般社団法人相続総合支援協会理事。不動産と相続に関する分野に専門性を有する。難しいことを分かりやすく説明することを得意とし、ラジオ出演、新聞・雑誌への寄稿、セミナー、講演活動などを行うタレント文化人。

経堂司法書士事務所|世田谷区で30年の実績 (kyodo-office.com)