コラム

転勤が決まったときに持ち家はどうする?選択肢やメリット、デメリットを解説

1680676487-IikXG.pngマイホームを所有する人にとって、転勤が決まったときに持ち家をどうすべきかは悩ましい問題です。

 

特に家族がいる場合は、安易に単身赴任を選ぶと配偶者や子どもと過ごす時間が減ってしまいストレスが増えてしまいかねません。

 

本記事では、勤務先から転勤を命じられたときの選択肢やそれぞれのメリット、デメリットを分かりやすく解説します。

転勤が決まったときの持ち家の選択肢

持ち家に住んでいる人が移動を命じられたときの主な選択肢は、以下の通りです。

 

  • 賃貸に出す
  • 売却する
  • 空き家のまま保有する
  • 単身赴任をする

 

ご自身の状況や家族の希望などをもとに、適切な選択を考えることが重要です。

持ち家を賃貸に出すメリット・デメリット

まずは、持ち家を賃貸に出して第三者に貸し出す場合のメリットとデメリットをみていきましょう。

賃貸に出す主なメリット

転勤を機に持ち家を賃貸に出すメリットは、以下の通りです。

 

  • 家賃収入を得られる
  • 入居者に建物を管理してもらえる

 

賃貸に出して入居者が付くと家賃収入を得られます。給与収入に家賃収入という新たな収入源が加わることで、家計が楽になる可能性があります。賃貸需要が見込めるエリアであれば、安定した家賃収入を得ることができ、将来に向けた資産形成も可能でしょう。

 

また、賃貸に出すと入居者に室内や庭の清掃を任せることができます。所有者が管理をする負担を軽減できるだけでなく、草木が伸びて景観が悪化したり、悪臭や火災が発生したりするリスクも抑えられます。

賃貸に出す主なデメリット

持ち家を賃貸に出す主なデメリットは、以下の通りです。

 

  • 入居者とトラブルになる可能性がある
  • 入居者が見つからなければ家賃収入を得られない

 

持ち家を賃貸に出すと、家賃の未払いや騒音、破損などのトラブルが発生することがあります。転勤先から入居者とのトラブルに対処するために、時間や労力がかかるかもしれません。

 

賃貸に出したものの入居者が見つからないことには、そもそも家賃収入は得られません。空室となっているあいだも、固定資産税や水道光熱費などの経費はかかり続けるため、資産を減らしてしまう恐れがあります。

持ち家を売却するメリット・デメリット

転勤を機に持ち家を売却してしまうのも選択肢の1つです。次に、売却によるメリットとデメリットをみていきましょう。

売却する主なメリット

持ち家を売却する主なメリットは、以下の2点です。

 

  • まとまった現金を手にできる
  • 維持費用の支払いや物件の管理が必要なくなる

 

住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合は、持ち家の売却代金で完済できることがあります。持ち家が高値で売却できればローン残債を差し引いてもなお、多くの資金が手元に残り、新居の入居費用や家具・家電の購入費用などに充てることも可能でしょう。

 

加えて、持ち家を売却したあとは、固定資産税や水道光熱費、火災保険料などの維持費用を負担する必要はありません。また、転勤先から持ち家をメンテナンスするために移動する時間や労力などもかからなくなるため負担は軽減されるでしょう。

売却する主なデメリット

持ち家を売却する主なデメリットは、以下の通りです。

 

  • 買い手が見つかるとは限らない
  • 売却時の諸費用がかかる

 

持ち家を売却するためには、不動産会社に仲介を依頼して買主を探してもらうのが一般的です。立地や建物の状態、不動産の市況などによっては、買い手探しに苦労してしまい、希望する価格での売却が難しいことがあります。

 

また、不動産を売却するときは仲介手数料や登記費用、印紙税などが発生します。住宅ローンが残っている場合は売却金で完済しなければなりません。

 

そのため、持ち家を売却できたとしても、諸費用の支払いやローンの完済をすると手残りが少なくなることがあります。

持ち家を空き家のまま保有するメリット・デメリット

続いて、持ち家を空き家のまま保有するメリットとデメリットをご紹介します。

空き家のまま保有する主なメリット

持ち家を空き家のまま保有するメリットは、次の通りです。

 

  • 将来的に戻りやすくなる
  • 別荘としても活用が可能

 

空き家のまま持ち家を所有していれば、将来的に戻ってきたときに再び同じ場所で暮らすことができます。転勤が一時的なものであり短期間で戻る予定があるのなら、空き家にしておくのも1つの方法です。

 

また、空き家のまま保有していれば、週末や長期休暇などで別荘として活用することもできます。家族や親戚が一時的に利用できる宿泊場所として利用することも可能でしょう。

空き家のまま保有する主なデメリット

空き家のまま保有するデメリットは、以下の通りです。

 

  • 維持費用がかかる
  • 管理の手間がかかる

 

空き家として所有する場合は、固定資産税や水道光熱費、火災保険料などの費用がかかります。新居の住居費に加えて、空き家の維持費用がかかるため、家計に負担をあたえやすいです。

 

管理に手間や時間がかかりやすいのも、空き家のまま所有するデメリットです。草木の手入れや放置されたゴミの始末などを怠ると、景観が悪化してしまいかねません。

 

また、害獣や害虫の被害が発生したり、放火や不法侵入などの犯罪が発生したりして、近隣住民に迷惑をかける恐れもあります。

単身赴任をするメリット・デメリット

家族を持ち家に残して単身赴任をするという方法もあります。最後に単身赴任をするメリットとデメリットをみていきましょう。

単身赴任をするメリット

単身赴任をする主なメリットは、以下の2点です。

 

  • 家族の負担が軽減される
  • 家の管理やメンテナンスを家族に任せられる

 

単身赴任をすると、家族は引き続き住み慣れた持ち家で暮らすことができます。配偶者が勤務先を退職したり、子どもが転校をしたりする必要はないため、家族にとってはもっとも負担が少ない選択肢となるかもしれません。

 

家族が引き続き住むのであれば、建物や庭、設備などの管理・メンテナンスも任せることができます。転勤先から持ち家のメンテナンスをしに向かう機会は減り、業者に管理を依頼する必要はありません。

単身赴任をするデメリット

単身赴任をする主なデメリットは、以下の2点です。

 

  • 家族と離れて暮らすことになる
  • 生活コストが二重にかかる

 

単身赴任になると、家族と離れて暮らすことになります。持ち家と転勤先の距離が遠いほど、家族と過ごす時間を確保するのが困難になるでしょう。家族と過ごす時間を大切にしたいと考えている方にとっては、苦しい選択といえるかもしれません。

 

また、生活拠点が分かれることで食費や住居費なども二重にかかります。勤務先からの補助があまり期待できないのであれば、経済的な負担が重くなる恐れがあります。

転勤が決まったときに確認すべきこと

転勤が決まったときは、以下の5点を確認すると良いでしょう。持ち家をどうすべきかが判断しやすくなります。

 

  1. 転勤先や家を離れる期間
  2. 社宅や家賃補助の有無
  3. 持ち家の築年数・立地など
  4. 住宅ローンの残債
  5. 家族の状況や意思

 

例えば、転勤しても短期間で戻ってくるのであれば、家は売却せずに持ち続けたほうが良いかもしれません。社宅が利用できる場合や家賃補助があるのであれば、単身赴任をしたときの経済的な負担が軽減されることがあります。

 

持ち家の築年数や立地から考えて高値での売却が期待でき、住宅ローンを完済してもまとまった現金が残るのであれば持ち家を手放しても良いかもしれません。

 

ただし、いくら経済的にメリットがあったとしても、自分自身や家族が苦痛を感じては本末転倒でしょう。家族の状況や意思も踏まえて、もっとも良いと考えられる選択肢を検討することが大切です。

まとめ

  • 転勤をしたときの持ち家の選択肢には「賃貸に出す」「売却する」「空き家のまま保有する」「単身赴任をする」がある
  • それぞれにメリットとデメリットがあり、家族の意向や今後のライフプランなどによって最適な選択肢は異なる
  • 転勤先や家を離れる期間、勤務先の福利厚生制度、予想売却価格などをもとにご自身や家族に合った選択肢を考えることが大切

 

 

【コラム執筆者】

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山本 健司

プロフィール

ミライアス株式会社代表取締役。大手不動産会社で全国1位の成績を連続受賞。不動産相談件数16,000件超。著書『初めてでも損をしない 不動産売却のヒケツ(サンルクス出版)』『損しない! モメない! 実家の不動産相続のヒケツ(サンルクス出版)』『全部一人でできる人になる不動産の仕事大全(ソシム社)』