コラム

マイホーム購入時に住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要

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一般的にマイホームは高額であるため、ほとんどの方が住宅ローンを組んで購入します。

 

住宅ローンを組んでマイホームを購入すると「住宅ローン控除」という税の優遇制度を受けられます。住宅ローン控除を受けるためには、職業にかかわらず確定申告をしなければなりません。

 

今回は、マイホームを購入したときの確定申告の流れや住宅ローン控除の制度内容などをわかりやすく解説します。

 

マイホーム購入後に住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要

住宅ローン控除を申請すると、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人の所得税や住民税を減税してくれます。

 

マイホームを購入した人が住宅ローン控除を申請するためには、購入した翌年に確定申告をする必要があります。

 

確定申告は、1年間の所得金額や所得税額を計算して、申告・納税するための手続きです。

 

会社員や公務員などの給与収入を得ている人は、勤務先が給与から所得税を天引きして代わりに税務署へ納めてくれているため、基本的には確定申告をする必要はありません。

 

しかし、初めて住宅ローン控除を申請するときは、会社員や公務員の方も確定申告が必須となります。

 

住宅ローン控除の控除額

住宅ローン控除を受けられると、所得税と一部の住民税を減税してもらえます。減税額は「年末時点の住宅ローン残高×控除率」で計算します。

 

2022年1月以降にマイホームへ入居する場合、控除率は0.7%です。2021年12月末までは1.0%でしたが、税制改正にともない控除率が変更されました。

 

例えば、年末時点の住宅ローン残高が2,000万円、控除率が0.7%である場合、所得税から控除される金額は「2,000万円×0.7%=14万円」です。

 

控除額は、まず所得税から差し引かれます。余りがある場合は翌年の住民税から控除してもらえますが、所得税の課税所得の5%(最大97,500円)が上限です。※2021年12月末までは、所得税の課税所得の7%(最大136,500円)

 

住宅ローン控除を受けられる期間

マイホームに入居するタイミングが2022年1月以降である場合、住宅ローン控除を受けられる期間は、以下の通り取得した住宅の種類に応じて決まります。

 

  • 新築住宅または買取再販住宅:最長13年
  • 中古住宅:最長10年

 

2021年12月31日以前の住宅ローン控除は、控除期間が最長10年であり、所定の要件を満たして特例措置を適用できた場合のみ最長13年に延長されました。

 

借入限度額

住宅ローン控除では、控除額を計算する際に対象となる年末時点の住宅ローン残高に限度額が設けられています。限度額は、マイホームに入居するタイミングや取得する住宅の種類によって変わります。

 

2022年(令和4年)〜2023年(令和5年)末までに入居する場合の借入限度額は、以下の通りです。

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住宅ローン控除の対象となる条件

新築住宅の場合、住宅ローン控除を受けるために満たすべき主な要件は、以下の通りです。

 

  1. 新築または取得した日から6か月以内に入居し、住宅ローン控除の適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいる
  2. 建物の床面積が50㎡かつ、床面積の1/2以上を居住用として利用
  3. 住宅ローン控除を受ける人の合計所得金額が2,000万円以下
  4. 住宅ローンの返済期間が10年以上
  5. 取得後も共に生活する親族や特別な関係にある人からの取得ではない
  6. 贈与による取得ではない
  7. 取得した住宅に居住を開始した年とその前2年間、後3年間の計6年間※に譲渡所得の特例の適用を受けていない

※令和2年3月31日以前に住宅を譲渡した場合は、住宅に居住を開始した年とその前後2年間の計5年間

 

ただし、年間の合計所得金額が1,000万円以下であり、取得したマイホームの建築確認を2023年(令和5年)12月31日までに終えているのであれば、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅も対象となります。

 

中古住宅を購入し、2022年1月以降に入居をする場合、新築住宅の要件に加えて以下のどちらかを満たす必要があります。

 

  • 昭和57年1月1日以後に建築されたものであること
  • 昭和56年12月31日以前に建築されている場合は、所定の耐震基準を有していることが証明されている

 

昭和56年12月31日以前に建築された中古住宅を購入した場合、必要に応じて耐震改修工事をして、一定の耐震性能があることが証明されていれば、制度の対象となります。

 

マイホーム購入時の確定申告の流れ

マイホームを購入したときの確定申告の流れは、以下の通りです。

 

  1. 申告に必要な書類を集める
  2. 申告書類を作成する
  3. 期日までに税務署へ提出する

 

確定申告の準備を進める際は、国税庁ホームページにある「確定申告に関する手引き等」を参照すると良いでしょう。

 

また、書類の記載方法や必要書類、住宅ローン控除の制度内容などで不明な点があるときは、最寄りの税務署にある相談窓口に問い合わせることをおすすめします。

 

1.申告書類に必要な書類を集める

確定申告時の必要書類の例は、以下の通りです。

 

  • 金融機関が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
  • 床面積がわかる書類(例:登記事項証明書)
  • 家屋の取得対価がわかる書類(例:工事請負契約書・売買契約書)
  • 所得控除を申請するための書類(例:生命保険料控除証明書)
  • 本人確認書類の写し(以下a.bのどちらか)
    • a.マイナンバーカード
    • b.マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票+運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
  • 源泉徴収票(給与所得がある人)

 

上記のうち、源泉徴収票以外は申告書類に添付して提出する必要があります。

 

長期優良住宅や低炭素住宅などを取得した場合は「認定通知書」や「住宅省エネルギー性能証明書」などの書類の写しが必要です。

 

昭和56年12月31日以前に建築された中古住宅の場合「耐震基準適合証明書」や「耐震改修に係る工事請負契約書」など、耐震性能の写しが必要です。

 

取得したマイホームの種類によって、確定申告の際に必要となる書類が異なるため、事前に国税庁のホームページまたは税務署などで確認をしておきましょう。

 

2.申告書類を作成する

必要書類を集めたら「確定申告書」と「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成します。

 

確定申告書は、所得の金額や所得税額を記載する書類であり、確定申告書Aと確定申告書Bの2種類があります。会社員や公務員であり、住宅ローン控除以外に申告するものがないときは、確定申告書Aを使用しましょう。

 

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、マイホームの取得価格や年末時点の住宅ローン残高、控除額などを記載する書類です。 

 

連帯債務型の住宅ローンを組んだ場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も作成しましょう。

 

確定申告の書類は、最寄りの税務署で入手できる他、国税庁のホームページで印刷をすることも可能です。

 

また、国税庁のホームページ内にある「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法もあります。画面の指示にしたがって金額などを入力するだけで、所得金額や税額、控除額が自動で計算されるため、書類作成時の負担を軽減できるでしょう。

 

3.期日までに税務署へ提出する

申告書類を作成できたら、税務署に提出しましょう。提出方法は、以下の通りです。

 

  • 税務署に持参
  • 税務署に郵送する
  • e-Taxで電子申告をする

 

e-taxであれば、確定申告書等作成コーナーで作成した申告書類の電子データを、インターネットで送信して申告ができます。

 

税務書に申告書類を提出したあとは、数週間から1か月程度で指定の口座に還付金が振り込まれます。

 

2年目以降は年末調整で申告が可能

2年目以降は、勤務先の年末調整で住宅ローン控除の申請が可能です。

 

初年度に確定申告で住宅ローン控除を申請すると、税務署から「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が送付されてきます。

 

年末調整の手続きをするときに、この申告書を記入し、金融機関が発行する年末残高証明書を添付して勤務先に提出することで、住宅ローン控除を申請できます。

 

まとめ

  • マイホームを購入した人が住宅ローン控除を受ける場合は確定申告が必要
  • 住宅ローン控除を受けられると「年末時点の住宅ローン残高×控除率」で計算される金額を所得税から控除できる
  • 確定申告で住宅ローン控除を申請する場合は「確定申告書」と「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成し、添付書類とともに提出する
  • 住宅ローン控除の制度内容や要件、申告方法などの不明点については最寄りの税務署に相談すると良い

 

 

【コラム執筆者】

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品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/