コラム

相続の際に活躍する生命保険契約照会制度とは?

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相続対策や、万が一に備えて加入する生命保険。せっかく加入された生命保険も、被相続人が突然亡くなったり、認知能力が低下してしまったことにより、相続人などの受取人が保険契約の存在に気づくことができず、請求漏れが発生したり、場合によっては、相続税の計算をやり直す結果になったりすることがあります。
 
今回は、被相続人が契約していた生命保険を調査するのに便利な生命保険契約照会制度について解説したいと思います。
 
 

生命保険契約照会制度とは

 
生命保険契約照会制度とは、令和3年7月1日に生命保険協会によって創設された新しい制度で、被相続人が契約していた生命保険の有無を照会できる制度です。
 
具体的には、契約者・被保険者が亡くなった場合や認知判断能力が低下している場合において、法定相続人、法定代理人、3親等内の親族などからの照会を生命保険協会が受け付け、照会対象者に関する生命保険契約の有無について一括して生命保険各社に調査依頼を行い、生命保険各社における調査結果をとりまとめて照会者に回答するという制度になります。
 
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、東日本大震災の発生以降、被災により生命保険契約の有無を確認する手かがりを失い、保険金の請求が困難になった方からの生命保険契約の有無の照会に応じる「災害地域生保契約照会制度」というものが創設されました。
 
今回の新しい生命保険契約照会制度は、災害時だけではなく、超高齢化社会に対応するために、平時でも、保険契約の有無を照会できるようにその対象を広げたものになります。
 
 

生命保険契約照会制度のポイント

 

一括して照会可能

 
生命保険契約照会制度が創設される前は、保険契約の有無を確認するためには、各保険会社に個別に問い合わせる必要があったため多くの手間と時間がかかりました。
 
それに対して、新制度を利用すると、生命保険協会を窓口にして、加盟している全保険会社に一括して契約の有無を確認することができるようになり、照会にかかる労力を大幅に削減できるようになりました。
 
 

災害時だけではなく平時にも照会可能

 
災害時だけではなく、平時にも照会対象者が死亡した場合や照会対象者の認知判断能力が低下した場合に保険契約の有無を照会できるようになりました。
 
 

個人情報保護にも配慮

 
個人情報保護の観点から、誰でも自由に照会できるわけではなく、一定の者に限って照会することができます。
 
例えば、照会対象者が死亡している場合には、法定相続人や遺言執行者などが照会可能であり、照会対象者の認知判断能力が低下している場合には、照会対象者の法定代理人、任意後見制度に基づく任意代理人、照会対象者の3親等内の親族などが照会できます。
 
 
 
 
 

 

 

【コラム執筆者】

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髙橋 朋宏

プロフィール

経堂司法書士事務所代表司法書士。一般社団法人相続総合支援協会理事。不動産と相続に関する分野に専門性を有する。難しいことを分かりやすく説明することを得意とし、ラジオ出演、新聞・雑誌への寄稿、セミナー、講演活動などを行うタレント文化人。

経堂司法書士事務所|世田谷区で30年の実績 (kyodo-office.com)