コラム

捨てても大丈夫?遺品整理と法的に注意するべきポイントについて解説

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「遺産整理」と全く異なる「遺品整理」。響きは似ていますが、どこが違うのか分からない、とっても紛らわしい言葉ですよね。

 

大切な人が亡くなり、実際に遺品整理が必要になったときどのように対応したらいいか分からない方もとても多いかと思います。

 

今回は、遺品整理と法的な注意点について解説したいと思います。

 


遺品整理とは

 

遺品整理とは、親族や身内が亡くなった際に、故人が生前に使用していたもの=遺品を整理することをいいます。

 

言葉は似ていますが、「遺品整理」と「遺産整理」は全く別物です。

 

遺品の中には、銀行の通帳や有価証券など、それらを処分する(相続人間で分ける)には遺産分割協議などの法的な手続きが必要なものも含まれますので、その限りにおいては遺品整理と遺産整理は重なります。

 

ですが、一般的には、遺品整理は、遺産分割協議などが必要となる価値の高い財産以外の、故人の身の回りのものや、日常的に使用していたものの整理を指します。

 

遺品整理では、故人の思い出の品を家族や身内で形見分けしたり、不要なものは処分したりすることになります。

 

 

遺品整理と法的な注意点


遺言があれば遺言に従う

亡くなった方の残した遺品は、どんなものであれ形式的には全て相続財産として法律上扱われます。

 

ですので、遺言がある場合には、遺言書の記載に従って処分する必要がありますので、遺言書に指定の処分方法がないか確認する必要があります。

 

 

相続放棄等をする場合には遺品を勝手に処分しない


相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も相続しないようにする手続きを指します。

 

故人に多額の負債がある場合など、相続すると大きな負担を負ってしまう場合に、それを回避するために採られる法的な手段です。

 

相続放棄をするためには、いくつかの手続きが必要になりますが、遺品を処分してしまうと相続放棄ができなくなる場合があります。

 

ですので、相続放棄等を検討されている場合には、遺品整理をしないように注意する必要があります。

 

 

遺品整理は遺産分割協議後にしましょう


厳密に言うと、遺品は全て相続財産に含まれます。

 

故人が日常的に使用していた身の回りのものや不用品も法律上は相続財産となります。

 

それらをひとつひとつ遺産分割協議で合意を形成して分割するということは実際に行われることはありませんが、遺産分割協議の前に勝手に処分してしまうと、思わぬトラブルに発展することもあります。

 

「勝手に処分した○○は、実は高価なものだったのでは?」と疑いをかけられたり、思い入れのある品を勝手に処分されてしまったことから感情的な対立を生んでしまったりすることもあります。

 

後の争いを防止し、円滑に手続きや遺品整理を進めるためには、遺産分割協議が終わった後に遺品整理を行うようにすることをオススメします。

 

その際、遺産分割協議書の中に、その他遺品についての条項を盛り込んでおくのも後の紛争を防止する点で効果的となります。

 

 

 

【コラム執筆者】

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髙橋 朋宏

プロフィール

経堂司法書士事務所代表司法書士。一般社団法人相続総合支援協会理事。不動産と相続に関する分野に専門性を有する。難しいことを分かりやすく説明することを得意とし、ラジオ出演、新聞・雑誌への寄稿、セミナー、講演活動などを行うタレント文化人。

経堂司法書士事務所|世田谷区で30年の実績 (kyodo-office.com)