コラム

中古マンションの購入時に確認すべきポイントとは?

1656191301-7jtuC.png

 

「新築マンションと中古マンションのどちらにしようか」と迷っている人も多いのではないでしょうか。

 

中古マンションは、新築マンションと比較して優れている点もあれば劣っている点もあります。また、立地や築年数などをよく確認したうえで選ばなければ、失敗してしまうかもしれません。

 

本記事では、中古マンションのメリットやデメリット、検討するときに確認すべきポイントなどをわかりやすく解説します。

 

 

中古マンションのメリット・デメリット

 

まずは、中古マンションのメリットとデメリットをみていきましょう。

 

 

中古マンションのメリット

 

中古マンションの主なメリットは、以下の3点です。

 

  • 価格が安い
  • 物件の選択肢が増える
  • 現物を確認して購入できる

 

マンションの価格は、築年数の経過とともに低下していきます。

 

これは経年劣化によって建物部分の価値が低下していくためです。

 

加えて、日本では新築物件の人気が高いこともあり、中古マンションは割安な価格で購入できます。

 

安く購入できた分、リフォームやリノベーションに資金を回し、ご自身や家族のライフスタイルにあったお部屋に改装することも可能です。

 

駅近を始めとした好立地な物件の選択肢が増えるのも、中古マンションの代表的なメリットです。

 

日本は土地が狭く、すでに多くのマンションが建っているため、新築マンションに限定すると選択肢が限られてしまいます。

 

中古マンションも含めて検討することで、好立地にある物件を購入しやすくなるでしょう。

 

また中古マンションであれば、購入する前にお部屋の中を確認できます。

 

新築マンションの場合、実物を見ずにモデルルームやパンフレットなどで室内をイメージして、購入を決断しなければならないケースが少なくありません。

 

中古マンションであれば、風通しや日当たり、窓から見える景色などを確認したうえで、購入を判断できます。

 

 

中古マンションのデメリット

 

 

中古マンション購入する主なデメリットは、以下の3点です。

 

  • 建物や設備が古い
  • 購入時に仲介手数料がかかる場合がある
  • 修繕積立金が高い傾向にある

 

中古マンションは経年劣化により、建物や設備に古さを感じられることがあります。新築マンションと比較して、断熱性能や耐震性能などが劣るケースは少なくありません。

 

また、売主が個人である中古マンションを購入する場合、不動産会社に対して仲介手数料を支払うことがあります。

 

仲介手数料は「物件価格×3%+6万円(税抜)」が上限です。場合によっては、新築マンションと取得コストがあまり変わらないことがあります。

 

ただし、仲介手数料の有無や金額は不動産会社によって異なります。買主側の仲介手数料が無料となる場合もあるため、よく確認することが大切です。

 

修繕積立金は、マンションの大規模修繕に備えた積み立てをするために、入居者から徴収されるお金です。

 

築年数が経過するほど、一般的に修繕積立金は高くなっていきます。そのため中古マンションは、新築マンションよりも修繕積立金が高く、毎月のランニングコストがかかることがあります。

 

 

中古マンション選びで重要な要素

 
 

では、中古マンションを選ぶときは、何に着目すれば良いのでしょうか。ここでは中古マンションを選ぶときに、特に確認すべきポイントを4つ解説します。

 

 

立地

 

立地は、購入後に変更できません。そのため、ご自身や家族が生活しやすい立地にあるマンションを選ぶことが大切です。

 

通勤や通学で利用する駅や子どもが遊べる公園、日常生活で欠かせないスーパーや銀行、病院などとの距離を確認のうえ購入を検討しましょう。

 

また、自治体のハザードマップを確認して、豪雨や地震などの自然災害の被害に遭いにくいエリアのマンションを選ぶ方法もあります。

 

資産価値が落ちにくいマンションを購入したいときも、立地は慎重に選ばなければなりません。

 

立地は、マンションの資産価値を左右する重要な要素です。わかりやすい例でいえば、駅からの距離が徒歩15分を超えるかどうかで、マンションの資産価値は大きく変わります。

 

将来的に売却を予定しているのであれば、資産価値が落ちにくいと考えられる立地にあるマンションを購入することをおすすめします。

 

 

築年数

 

一口に中古マンションといっても、築5年程度の築浅物件もあれば、築30年を超える築古物件もあります。

 

マンションは築年数によって、資産価値の下落幅が異なります。東日本不動産流通機構によると、マンションの㎡単価と築年数の関係性は以下の通りです。

 

1656190795-L9yBi.jpg

※出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年) 

 

 

築年数の経過とともに㎡単価は下落していきますが、築10年を超えたあたりから下落幅は緩やかになり、築26年以降はほぼ横ばいです。

 

築年数が経過するほど資産価値は下がるわけではなく、築25年あたりで底値を迎えると考えられます。

 

築年数が経過したマンションでも、リフォームやリノベーションをすることで新築物件と同等の性能にできます。

 

築浅のマンションのみで検討しており、希望に合う物件がなかなか見つからない方は、築25年以上の物件も選択肢に加えてはいかがでしょうか。

 

 

管理状況

 

マンションの管理状況は、マンションの寿命や資産価値などに大きく影響します。

 

そのため「マンションは管理を買え」といわれるほど、管理状況の確認は非常に大切です。

 

マンションは管理次第で100年以上もつと言われていますが、管理が行き届いていなければすぐに寿命を迎えてしまうでしょう。

 

また、いくら立地が良いマンションでも、きちんと管理されておらず外壁や廊下、エントランスなどの劣化が進んでいると、購入後に資産価値が低下していくかもしれません。

 

外壁や廊下などのひび割れ、塗装の剥げ、駐輪場やゴミ置き場の清掃状況などを確認し、マンションが適切に管理されているのかをチェックしたうえで購入しましょう。

 

 

長期修繕計画

 

マンションは一般的に築年数が10〜15年経過するごとに大規模修繕を行い、外壁や廊下などが改修されます。

 

大規模修繕の際には、多額の工事費用が必要です。そのため、入居者から毎月修繕積立金を徴収して、大規模修繕に必要な資金を計画的に積み立てていきます。

 

修繕積立金が計画通りに積み立てられていなければ、大規模修繕の際に資金が不足し、追加で一時金を徴収されるかもしれません。

 

大規模修繕が計画通りに実施されないと、マンションの資産価値が大きく下がる恐れがあります。

 

そのため中古マンションを購入する際は、長期修繕計画や修繕積立金の積み立て状況なども確認し、計画通りに大規模修繕が実施されるのかを考えることが大切です。

 

 

中古マンション購入時は慎重に資金計画を立てる

 

中古といえども、マンションのほとんどは高額であるため、購入するときは慎重に資金計画を立てることが大切です。

 

いくらの自己資金を捻出し、残りのいくらを住宅ローンで賄うのかをよく考えて購入しましょう。

 

東京カンテイの調査によると、首都圏にある新築マンションと中古マンションの価格は、以下のように推移しています。

 

 1656191045-iDWGS.jpg

 

※出典:東京カンテイ「マンションデータ白書 2020

 

 

新築マンションの平均価格はこの10年間で高騰しており、2020年には6,000万を超えました。

 

中古マンションについても、新築マンションに比べれば緩やかではあるものの平均価格は年々上昇しています。

 

2022年現在でも新築マンションの価格高騰が続いており、手が出せない人が増えており、より安価で購入できる中古マンションの人気が高まってきています。

 

しかし、需要の増加によって今度は中古マンションの価格も高騰すると考えられます。

 

実際に首都圏では、2022年1〜3月の中古マンション成約単価が4,110万円と前年同期比+8.2%となっており、38期連続で前年同期を上回りました。

 

※出典:東日本不動産流通機構「月例速報 MarketWatchサマリーレポート 2022年1〜3月度

 
 

また、中古マンションの購入時は、手付金や印紙税、仲介手数料、住宅ローンの借入にともなう事務手数料などの諸費用がかかります。

 

購入後は管理費や修繕積立金、固定資産税などのランニングコストを負担していかなければなりません。

 

以上の点から中古マンションを購入するときは、今後のライフプランをよく考えたうえで資金計画を立てて購入しましょう。

 

ファイナンシャルプランナーをはじめとした専門家に相談して、資金計画を練るのも方法です。

 
 
 
 
 
 
 

まとめ

 
● 中古マンションの主なメリットは「価格が安い」「物件の選択肢が増える」「現物を確認して購入できる」
● 中古マンションの主なデメリットは「建物や設備が古い」「購入時に仲介手数料がかかる場合がある」「修繕積立金が高い傾向にある」

● 中古マンションを選ぶ際は「立地」「築年数」「管理状況」「長期修繕計画」をよく確認することが大切

● 中古マンションといえども、購入するときは多額の資金が必要となるため、今後のライフプランをもとに慎重に資金計画を立てることが重要

 
 
 
 
 

【コラム執筆者】

1613137682-8O7Tj.jpg

品木 彰(シナキ アキラ)

プロフィール

保険・不動産・金融ライター。ファイナンシャルプランナー2級技能士。大手生命保険会社や人材会社での勤務を経て2019年1月に独立。年間で700本以上の記事執筆に加えて、不動産を始めとしたさまざまな記事の監修も担当している。

https://daisakukobayashi.com/