コラム

不動産の贈与と相続はどっちがお得か解説

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相続対策にあたって税金対策は避けては通れない道のひとつです。特に相続財産の中でも大きな割合を占める不動産に関する対策は重要となってきます。

相続財産に不動産が含まれる場合にはどうしたらよいのか、その判断のポイントを今回は解説していきたいと思います。

 

 

不動産の贈与と相続、どちらがより節税になる?


不動産はとても価値の高い財産です。相続の際に高額の税金が課せられるケースも多くありますが、だからといって「家族に生前贈与すれば相続税を安くできる」と単純に考えて不動産を贈与するのはとても危険です。

 

例えば、評価額5000万円の物件を贈与する場合、基礎控除額の110万円を差し引いても贈与額は4980万円となり、贈与税の税率は55%です。したがって、2000万円以上の贈与税が課せられます。

 

これに対し、同じ物件を相続する場合の相続税は、仮に相続人が一人だとしても基礎控除額の3600万円を差し引いて1400万円が課税財産となり、税率は15%で50万円が控除されるため相続税は約160万円です。大きな違いがあります。

 

また、不動産の名義変更には登記手続が欠かせませんが、登記手続では登録免許税と不動産取得税という2つの税金の負担があります。生前贈与の場合、登録免許税は評価額×2%、不動産取得税は評価額×1.5%であるのに対し、相続の場合、登録免許税は評価額×0.4%、不動産取得税はそもそもかかりません。

 

このように親族の中での不動産の移動は、一般的には贈与よりも相続を考えたほうが良いと言えます。

 

 

不動産の贈与の特例


しかし、高額な不動産物件をご家族に贈与する場合でも、ケースによっては贈与税の負担を抑えることができる場合があります。例えば、特定の条件を満たした配偶者に大きな非課税枠が与えられる特例があります。

 

また、60歳以上の祖父母や父母から20歳以上の子や孫へ贈与をする場合に2500万円までの贈与であれば贈与税が非課税になる「相続時精算課税制度」という制度もあります。この制度では贈与者が死亡して相続が発生した場合には本制度を利用して贈与した金額を全て故人の相続財産に加算して相続税を計算することとなります。

 

 

ご家族や資産状況によって検討する


ご家族や資産の状況によって最適な手段が変わってくるので、重要なのはそれぞれの状況に合わせた対策を検討・選択することです。

信頼のおける不動産会社へ価格査定を行う、相続対策に強い税理士に相談するなど検討することが必要です。

 

 

【コラム執筆者】

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髙橋 朋宏

プロフィール

経堂司法書士事務所代表司法書士。一般社団法人相続総合支援協会理事。不動産と相続に関する分野に専門性を有する。難しいことを分かりやすく説明することを得意とし、ラジオ出演、新聞・雑誌への寄稿、セミナー、講演活動などを行うタレント文化人。

経堂司法書士事務所|世田谷区で30年の実績 (kyodo-office.com)